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今日の最高気温は32℃らしい。猛暑日連続記録更新中だとか、ニュースで騒いでたけど、何にもうれしくない。

野球部マネージャーのわたしは、今日も日焼け止めを塗る暇もなく、部員たちのサポート。ただでさえ照り返す熱が暑いグラウンド、さらには練習に熱中する選手たちのおかげで、体感温度はわたしからすると40℃くらいいってそうだ。

それにしてもこの暑さの中、集中力を切らすことなく練習する選手たちには頭が上がらない。 特に、普段喧嘩ばっかりしてる御幸倉持あたりも、今は真剣な顔で練習に励んでいる。

がんばっている彼らのために、ドリンクや氷を多めに用意することにした。ボトルをもって水道に来ると、人影がぽつり。

『…降谷?』

そこにいたのは1年生ながら豪腕投手と言われている降谷。投手陣はブルペンにいたはずなのに。

「………あ、なまえ先輩…」

『あ、じゃないよ。練習どうしたの?』
「……あつくて……」
『みんなそうだよ。ホラ、休憩したなら早く戻んないと御幸に怒られるよ』

と促してあげるも、その足は動かない。
そういえば、彼は北海道出身だった。東京のこの蒸せ返るような暑さは、初めてなのか。

『北海道の夏は、そんなに暑くないの?』

ドリンクを作りながら動く気配のない降谷に話しかける。

「……こんなに、蒸し蒸ししないです」
『そっか。でも慣れないと、エースにはなれないよ?』
「エースにはなります」

今まで回答まで数秒空いていたのに、やっぱりエースという言葉にはすぐ反応するんだ。頼もしいんだかなんだか。

「……なまえ先輩、ちょっと来て」

未来のエース様に呼ばれたので、ドリンクを作る作業を一旦中断して、降谷の元に行く。あ、手拭くやつないや。まぁいいかそのままで。冷たくて気持ちいいし。

「なに?やっぱり具合悪い?」
「…手、貸して」

手?わたしの?濡れてるけど、と言いながら降谷に両手を差し出す。すると、彼はわたしの両手を自分の両頬にくっつけた。

「………つめたくてきもちいい」

わたしよりも一つ下のくせに、大きな両手に、ドキドキする。降谷も、男の子だったんだなぁ…。

『……手くらいなら、いつでも貸してあげる』

降谷の頬は思った通り熱かった。
でもそれ以上に、わたしの頬も、熱かった。

なんてやさしいてのひら

title by まばたき




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