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はいキタコレ。どっかの高校のPGみたいだって?もうこうでもしてらんないと気持ちがもたないんだもん。
またいつものように目が覚めました。またあの部屋にいました。
現場からは以上です。
てかマジで黄瀬のときからまた一週間も経ってないよ。頻度高くない?
あれから黄瀬にも会ってないので現実なのかは分かりませんがやっぱりキスマークは消えてませんでした。
あれ、ってことは黄瀬につけたやつも残ってる?あれそしたら次会うときめっちゃ気まずいやつじゃね?
「あっれーなまえじゃん?」
一人で悶々と考えていたらやたらと明るい声が聞こえた。
この声は最近聞いた声だ。
てかつい数時間前に聞いた。
『高尾…』
同じバスケ部の高尾和成がそこにいた。
「え、つーかコレ夢?やばくねめっちゃリアル」
『夢であってほしい…』
いつもの感じの条件はほんとにやめてほしい。ただでさえ毎日顔合わせるし普通にいい男友達だと思ってるのに…。
「え、なにその感じだと知ってんの?」
『…何回か来たことある』
「マジ?どういうこと?」
わたしはいつも通りの説明をした。条件についてはなにも言わずに。
「ふーん。つかその条件てなに?」
『…えっと…』
「前来たときは誰と来た?」
めちゃくちゃ質問してくる…。なにそんなに気になるかな…。
「この紙見つけちったんだけど、前来た時もこんな条件だったんだろ」
…
『え!!なにもう見つけてたの!?』
「いやめっちゃわかりやすいとこにあったから」
『わたしの説明の意味!』
「ワリィ」
「ホラここ出る条件」
高尾がわたしに渡して来た紙は、今までの三回と全く同じ。
"熱いキスをすれば出られる(口以外認めず)"
ホラ出たよ〜もうやめて〜なんで口指定なの〜わたしたちがキスして誰が得するの?
「おーい」
『…はっ、ごめん…』
「んでなまえちゃん?オレの質問に答えてくれる?」
『あはは…』
鋭い目でこちらを見てくる彼からは逃げられそうにないです。
「真ちゃんと先にここ来てたとはねえ〜」
『緑間が覚えてるかはわかんないけど』
「いや、多分覚えてるわ。そのくらいのとき真ちゃんなまえに対してちょっと変だったし」
『え!そうだったの?てかそれ知りたくなかったかも…』
緑間とのことは1ヶ月以上前だしもう時効だと思ってたのに。あっちが覚えてるってわかったら気まずすぎる。
「それに青峰に黄瀬?なまえよく無事だったな」
『?』
無事とはどういうことだろう。
「まあでもよくわかったわ。コレの意味」
そう言って高尾はわたしの首筋に貼ってある絆創膏を剥がした。
『っ、ちょ…』
「なに勝手に付けられてんの」
あれ、このセリフどっかで聞いたような…。
「コレ黄瀬くん?」
『…っ、うん』
薄くなりつつあったソコに、高尾は指を滑らせる。くすぐったい。
『高尾…くすぐったいんだけど…』
「なまえさあ、ちょーっと鈍感すぎるんだよね」
『…っん』
高尾が近づいてきて首筋に顔を埋めた。高尾の黒髪があたってさらにくすぐったい。
「みーんななまえが欲しいんだよ」
そう言って高尾はソコに舌を馳せた。生々しい舌の感触がダイレクトに伝わる。
『…ったか、お…』
「…かーわい。その顔やばい」
高尾の声って、ちょっと高めの声だなって思ってた。
なのに今は、普段より随分低い声で言うから、ああ高尾も男なんだなって思ってドキドキしてしまう。
いつものお調子者とギャップがありすぎる。
『ねえ…っ、ほんとにくすぐったい』
未だソコを舌で舐めているのと、髪が耳にあたるのとですごくくすぐったい。
「まだダメ。オレムカついてっからね」
『っひゃ、なんで…っ』
「オレ以外にキスされて?キスマークつけられて?」
『だってそうしないと出れないから…っ』
「…なまえ、ここから出たい?」
高尾の唇が首筋から移動して耳にくる。低い声が耳いっぱいに響いてどうにかなりそうだ。
『…っでた、いよ…』
「んじゃオレとキスする?」
『…ん…』
その答えに満足したように、高尾はわたしを持ち上げてベッドに降ろした。
そういえば緑間といつも一緒にいるから分からなかったけど、高尾も背おっきいんだったなあ。
「ホラなまえ、キスして?」
『え…わたし?』
「だってオレからって指定はないワケじゃん?」
『…でも、わたし』
「したことない?」
『…自分からはない』
そう言うとまた高尾はニンマリとして、
「じゃあやっぱりなまえからして」
『…っ、わかったよ』
すぐ隣に座っている高尾の方に身体を向けて、恐る恐る高尾の顔をみてその唇を確認する。
…どうしよう、高尾ってこんなかっこよかったっけ。てか色気出しすぎじゃない?
「なまえちゃーん、早く出ようよ」
『…もう、わかったよバカ』
覚悟を決めて高尾の肩に手を当てて目を閉じようとしたとき、高尾の目が見開いたのをわたしは見た。
『ん…』
あれ、そういえば熱いキスってかいてあったっけ。
普通にキスするだけじゃダメなのかなあ。
てか熱いってなんだ?
それを聞こうと思って唇を離そうとしたら、高尾の腕がわたしの背中にまわって抱きしめられていた。
「マジでなまえやばい」
『え、なにが』
「…かわいすぎる」
他のやつよく我慢できたな
そう言って高尾はわたしの唇に噛み付くようにキスをしてくる。
何度も角度を変えて、深い深いキスをされる。
それでも扉は開かない。なんとなくわかってたけども。
それをわかってか、高尾は少しだけ開いたわたしの唇の隙間から舌を入れてきた。
『んん…っ、ん』
何度も繰り返して舌同士を合わせているうちに、気づいたら高尾に押し倒されていた。
「…っ、ヤベェマジで」
そう言ってさらに唇を合わせてくる。
ガチャ
扉が開く音がようやくした。ホークアイをもつ彼なら、扉が開いたことに気づいているはずなのに。
「なまえ、もっと」
ああ、高尾も立派な男のコでした。
〇〇しないと出られない部屋
deep kiss-Kazunari Takao