『倉持期末テストどうだった?』
「あーまあ、いつも通り」

冬休み前の期末テストがようやく終わり、校内の雰囲気は一気にクリスマスモード。 中学生とはいえやっぱりクリスマスは特別なもので、恋人で過ごしたいと思う人が多いのかここ最近一気にカップルが増えていた。

かくいうわたしもクリスマスを楽しみにしている人の中のひとりで。どこにでかけようかな、どんなプレゼント渡そうかな、そんなことばっかり考えている。

『冬休みも部活?』
「だな。お前もだろ?」
『そうなんだけど…遊ぼうね?』
「…おー」

そしてその言葉通り、倉持は部活の後わたしに時間を割いてくれた。まだ中学生だからそんなに大したことはできないけど、二人で大型のショッピングモールに行って買い物をしたり、ご飯を食べたり。暗くなってからは近くのイルミネーションも見ることができた。

特別な日を大好きな人と過ごすことが、こんなに幸せなことをわたしは生まれて初めて知った。

『綺麗だね』
「だなあ」

チカチカと点灯していくイルミネーションを見るフリをして倉持の方を見る。最近染めた髪の毛がイルミネーションの光で反射して、金色にキラキラ光っていた。

友達にはこの見た目から怖くないの?脅されてるの?なんて言われてしまうこともあるけど、実際はそんなことなくて。むしろわたしの方が好きの気持ちが大きい。

『髪の毛』
「あ?」
『反射して、綺麗』
「…ヒャハ、ンなこと言うのお前くらいだわ」

照れたように笑って倉持はわたしの頭を撫でた。そのおかげでせっかく綺麗に整えた髪の毛がちょっと崩れちゃったけど、そんなの気にならなかった。

頭にあった倉持の手はだんだんと下降してきて、わたしの頬で止まった。

「…つめて」
『寒いから、ね』

夏くらいまではわたしより少しだけ高かった身長も、秋以降ぐんぐん伸びてもう見上げなければならなくなった。

ずいぶん上の方にある倉持の顔をじっと見つめて、わたしも倉持の頬に片手をそえた。そしてそれを弱い力で自分の方に引き寄せる。抵抗されるかな、なんて思っていたけどそんな気配はなくて、わたしにされるがまま倉持の顔はわたしの方に近づく。

『…いいの?』
「この状況で聞くか?」
『…じゃあ、』

自分から近づけたはずの唇は、あっという間に倉持に奪われていて。

「…ヒャハ、満足か?」

してやったり顔の倉持だけど、その頬は少しだけ赤くなっている。倉持も、ちょっとは緊張してくれてるんだなあ。

『…足りないよ』

じっと倉持の目を見てそう言えば、驚いたように目を見開いたあと、ニヤリと笑ってまたあの感触が唇に降って来る。

ちゅ、ちゅと軽く触れるだけのキスを何度も繰り返す。嬉しくて腕を倉持の身体に回すと、同じようにわたしの身体に腕を回して抱きしめてくれる。

わたし、この人がいないときっとダメになってしまう。そう思ってしまうくらい、どうしようもなく好きになっていた。

『っは…』
「…ヒャハ」
『倉持…』
「ん?」
『幸せ』
「…よかったな」


寒いけれど、しあわせね

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -