聞いてた話と違うんですけど/鋼の錬金術師


 「ここで清掃員として働くことになりました、名前・苗字っす!」

よろしくです。ペコッと下げていた頭を上げ、名前はオリーブ色の瞳を細めにっこり笑った。

「よろしくお願いします」

「よろしく」

「よろしくな」

フュリー、ファルマン、ブレダがそれぞれ名前に挨拶を返す。名前は「はいっす!」と返事をすると、くるっと振り返った。そこにはエドとアルが立っている。

「皆さん優しそうな人っすね。何か安心したっす。いくら清掃員って言っても、怖い人たちに囲まれてお仕事するのは嫌っすから」

「ははは、そうだね。ここの人たち……特に大佐の部下の皆さんはいい人達だから、安心していいよ」

「ま、その大佐がこれまたイヤミで女たらしで……」

「ほう? そのイヤミで女たらしな大佐殿の世話になっているのはどこの誰かな」

「そりゃあ……って大佐! ……いつの間に」

いつの間にか開いていた扉から、エドを押しのけホークアイと共にマスタングが入ってくる。名前はピシッと姿勢を正した。

「そんなに固くなることはない」

「は、はい! ですが、その、大佐殿ですから一応!」

「ははは、一応だってさ!」

ホークアイの後ろから聞こえてきた軽い笑い声。一同の視線を浴びて現れたのはヒューズだ。
ヒューズは「よ!」と手を上げ簡単に挨拶すると、名前の前に立つ。

「名前・苗字だな?」

「は、はい」

「早速だが入隊の手続きをしてもらう」

ヒューズの言葉に、名前は首を傾げてハテナマークを頭の上に浮かべた。
そんな名前の反応に、ヒューズも首を傾げる。
互いに首を傾げる二人に、周りにいた一同までもが首を傾げた。

「入隊ってなんすか? 私、清掃員になるつもりで来たんすけど」

「清掃員!? いやいや、お前さんは軍に入ることになってるんだが」

「はああ!? 無理無理、軍なんて無理っすよ!? ていうか何でそんなことに」

「こっちが聞きたい!」

「二人共ちょっと待ってください。一度整理しましょう」

食い違う二人の話。一向に埒の明かない様子に、ホークアイが割って入った。


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