中忍試験の試験官っていうのはめんどくさくて嫌になる。

いっそう、俺の家に住み着いてる黒猫になりたい。




猫になる





「シーカーマールー!アンタん家の猫が部屋ん中入ったよー。」

「イノ・・・いい加減50m後方で叫ぶのやめてくれ。」

俺の部屋はクーラーとか言うものも無く、扇風機で生活している。

だからいつも窓を開けて外に出る。それで十分だ。

面倒な金とか使わなくて済む。泥棒とか昼間から入る馬鹿はいねぇだろ。

唯一の泥棒は黒猫だ。もう幼い頃から住み着く俺の友達。

別に気にしてない。いつもの事だから。


今日は特別休暇で任務も仕事も無い。

だからこうして家を出てイノに捕まるわけだ。

「シカマルー?無視しないでよー!」

隣に追いついて来たイノは肩を叩きまわる。

まるで俺ん家の猫だ。

「お前なぁ・・・わざとデカイ声だしただろ?」

「うん!だってアンタの家に上がりたいもん。」

それだけを理由にこいつは・・・。俗に言うバカップルだと周り思われるだろ。

ちなみに俺達は付き合ってないがよく誤解される。

キバとかサクラとかにしょっちゅうからかわれる。
そういう感情持ってないから。

「なら、そう言えよ。」

と言う事で俺達はバックして家に戻る事にした。勿論イノ付きで。

「ただいま。」

誰も・・・いや黒猫しか居ねぇのに。

「おじゃましますー!」

さっさと二階の部屋に入っちまえばいいさ。

「うわっ!アンタ珍しいねー。綺麗じゃん!」

「珍しいって何だよ。いつも入ってきてるじゃん。」

もう15歳で汚い部屋に居るのは流石に辛い。

「あー!黒猫のチャムがベットの上にいるー。可愛い♪」

そう。勝手にイノは『チャム』と名前を付けている。

俺は『クロ』で良いんだけどな。

「あ、あたしトイレ行っていい?」

「おう。階段下りて・・・」

「知ってますぅー!」

急ぎ足で階段を降りる。ドサドサと音がする。

部屋にはチャム(?)と俺の2人だけとなった。

暇だからイノが来るまでチャムと戯れようか。

ベットの上にいるチャムを両手で掴み目の前まで来た瞬間 

「ニャー!」


突然飛びついて俺の頭とチャムの頭がぶつかった気がした。

チャムは大丈夫だろうか?

いつの間にか視界範囲からチャムの姿がない。


イノが帰ってくる。階段を上がってくる音がした。


「シカマルー、あのねー・・・あれ?シカマル?」


いやいや・・・俺ここですけど。


「シカマルー?何処行ったの?」

脅かし作戦?見えてるのに見えないフリ?

「もー!チャムーこっちおいで。」

チャムいねぇし。

「チャムまでシカマルみたいになってるの?よしよし」

どうして俺の頭を触る?気持ち悪い。


「高い高い〜!」


俺の横っ腹を掴んで天井へグイッっとあげる。


やめてー・・・って俺、イノよりもちっちゃい。

しかもこの足。チャムの足!?

もしかして・・・猫になったって事か?

チャムとぶつかった時、俺の魂がチャムの体に?

そんな非現実的な事があり得るのか?

もういじられっぱなし。それも女に。

チャムがメスだからこういう風にじゃれるのか。

だけど今は俺だ。オスだ。

「ねぇ、チャムゥー。シカマル何処に行ったか知ってるぅ?」

目頭の辺りをこちょこちょ撫でる。

しかも俺の位置はイノの胸辺りで腕の中。
思春期の俺にそんな位置に置くとは。

「何これ?頭んとこだけモサモサとポニーテールみたいにしてるー!
シカマルがやったの?これ。」

と言って頭を触る。

「可愛いねー!シカマルとそっくり」

ああ、俺の髪型がどうやら猫の俺にもあるらしい。非現実すぎて笑える。

「あのね。もうシカマルとあたしって15歳じゃない?だからそろそろ考えて欲しいなーと思って今日来たの。でも肝心のシカマルが居なきゃ話せないの。何を考えて欲しいかって?
そりゃあ付き合って・・・結婚して・・・子供産む事まで!」

なんと言えばいいか。イノの言いたい事が把握できない。

一体イノは俺に対してどういう感情を抱いているんだ。

「シカマルは前から大好きだし・・・でもアイツ鈍いじゃん!
よく分からない奴だけど言えば分かってくれる気がするの。」

イノはいつもぬいぐるみでこんな話をしている感じがする。

そしてイノは猫というものにキスをした。

まさか俺だとは気づいてないだろう。


イノはそのまま俺を抱いたまま床に倒れる。

「シカマルー・・・大好きー・・・」

小言のように言うが俺は丸聞こえだ。なぜならそばにいるから。

この体制で俺達は眠りに落ちた。


目が覚めて時計を見たときすでに5時をまわっている。

ついでに鏡を見ようとしたがイノが俺に抱きついている。

・・・?抱きつけるということは俺は戻っているって事か?

恐る恐る自分の手を見た。

普通の自分の手。
戻っている。

「ニャー」
チャムの声がした。間違いなく戻っている!

「シカマル・・・好き・・・」

俺がちょっと動いた時、イノの目が開いた。

!!!!!

「キャーーー!なんでアンタがそこにいるのよ!?」
そんな事言われても・・・俺は猫だったとは言えないしな。

「お前が抱きついてきたんだろ!?」

「あたし、チャム抱いてたもん。」

「寝てる間に俺が横で寝ようとしたら抱きついてきた。」

という事にして置こう。

「それは・・・ゴメンなさい;;じゃあ、あたし帰るね。」

「おう。」

バイバイと言われ手を振り返した。

今日はイノが俺の事をどう思っているかが知れた。

猫ってなかなか良い。




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多分これは7年ほど前に書いた古い古い小説を
急遽召喚してきたって感じです(笑)
ほのぼのしたものがかきたかったんですねーw
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