仲良し


―いつも仲良しでいいよね



幼い頃から他人にそう言われ続けてきた。


今もそう言われてあいつは喜ぶが、俺は不快になっていた。言われるたびに愚痴を吐いた。何故、不快になるか。この歳になるまで全く気がつかなった。つくづく自分はこういうのに鈍感なのだと思い知る。だが、気がつかないままの方が後々のことを考えると良かったかもしれないと思う時もある。


俺は「1人で」真っ当な人生を歩んでいけたらそれでいい。
いや、俺の人格からしてそうなる運命なんだ。


だが近頃、その考え方が変わってきた。


「1人で」生きていこうなんてまだまだガキだったのかもしれない。

願わくは「誰かと」。



年を重ねても容姿以外、あいつは何も変化することは無かった。


俺より高い体温、耳に残る笑い声、母親のような包容力。
気付けば傍にいた。何も変わっちゃいない。
ずっと昔から。



―これは気のせいなのか。



日に日に募る。
勿論それは否定したいが、どうやらもう抑えることは出来なくなったようだ。
でもそれは悟る以上になにも出来ない。




―雨が止んだ。




長期任務の最中はずっと雨が降っていたが、久々の帰宅途中で止む。






―虹が見える




雲の切れ間から光が差し込んでいる。






向こうから誰かがサンダルを履いて走ってくる音がする。
任務の帰りに良く聞く音。




「おかえり。」




俺の頭の中が上手く回らないこの瞬間が何とも言い難いほど心地好く感じる。




足元と、微笑んだ表情と、温もり、





俺はこいつの全てが恋しかったに違いない。





―ああ、ただいま。




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この小説は私の大好きなスピッツの「仲良し」
という曲を参考に書かせていただきました。
個人的にあんまり納得してないです。好きな曲なので(笑)
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