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この先もずっと


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「そらさんっ……!」


キッチンから持ってきた包みを後ろ手にそらさんの元へ。


「あの……これ……っ」
「えっ…?」
「そらさんが帰る前に渡そうかなと思ってたんですけど…日付もうすぐ変わっちゃうから。

あの……お誕生日、おめでとうございます」

「**ちゃん……」


びっくりしたような顔をしたそらさんと目が合い、恥ずかしくて赤くなった顔を隠すように俯く。
すると私の手からそらさんが包みを受け取り、


「嬉しい。ありがとう、**ちゃん」


そらさんの明るい声に顔を上げると、笑顔を浮かべたそらさんがいた。
その笑顔に私の胸がきゅっと音を立てた。


「お仕事中でもいつでも食べられるようにと思ってカップケーキにしてみたんですけど、お口に合うかどうか…」
「わっ!美味そう!!これ**ちゃんが作ったの!?」
「は、い…。不恰好な形になっちゃって……あ!でも味は美味しい、はずです。ちゃんと味見はしたので!…あと、感謝の気持ちは沢山込めてますからっ」


「……それだけ?」
「……え?」
「**ちゃんの愛情、とかは入ってたりしないのかなーって」
「あ、愛情……、……ですか?」
「あはは!ごめんごめんっ、ジョーダン。でも**ちゃんの気持ち、すごい嬉しいよ?」
「そら、さ……」


そらさんのそんな笑顔を見ていたら、
そらさんの優しさに触れていたら、


(私……)


きゅ、とスカートの裾を握りしめた。




「そらさんに喜んでもらいたくて……私不器用なんだけど、それでもそらさんが喜ぶ顔が見たくて……そればっかり考えながら、そらさんの事想いながら作って……」
「**ちゃん……?」

「………好き、なんです……好きになっちゃった……

……そらさんの、事」


優しいそらさんの笑顔見たら
想いが溢れて言葉にしてしまっていた。

気持ちを伝えたらそらさんの迷惑になるって分かってるのに、
ずっと閉まっておくつもりだったのに……



もう、戻れない――

専属SPもきっと外されてしまうだろう。
それでも、自分の気持ちを抑え切れなかった。


「……ごめんなさいっ、こんな事言ってもそらさん困らせるだけなのに……忘れて下さいね」


気付けば溢れていた目尻の涙を隠すように後ろを向き、気まずい雰囲気から逃げるためもう寝てしまおうとベッドへと向かおうとした。


すると。



「!」


突然温かいぬくもりに覆われた私の背中。
頬をくすぐるものがそらさんの髪の毛だと視界の端が捉えたとたん、ドキンと胸が激しく高鳴りだした。


「勤務中だけど………ごめん。……嬉しくて抑えられなかった」
「そら…さん…?」
「**ちゃんの気持ちがめちゃくちゃ嬉しくて……分かる?俺の心臓超ドキドキいってんの」


背中から伝わるそらさんの鼓動。
自分の音と重なってとても早く聞こえる。


「ほんとはさ、**ちゃんの警護が終わってからにしようと思ってたんだけどな、まさか先越されると思わなかった」


溜息をつきながら話すそらさんの息遣いを耳元で感じて、体中の神経が全てそこに集中していく。



「俺も……**ちゃんが好き」
「…え……っ」


はっきりと、そらさんの口から告げられたその言葉を一瞬理解できずに脳内を駆け巡る。


(今……なん、て……)


「だって……そらさん警護対象者には……」
「うん、そう割り切ってるつもりだったんだけどね、いつからか」


くるりとそらさんが私の体の向きを自分の方に向け、そして私の手を取る。


「**ちゃんの事考える度に此処がドキドキしてんだ」


掌が導かれた箇所から伝わる早い鼓動。


「…いつの間にか**ちゃんが俺の中でいっぱいになってた」
「そら……さん……っ」


そう言ってふわりと笑うそらさんに、いつのまにか涙が溢れて止められず頬を伝っていった。


「ほんとは今すぐぎゅーって抱きしめたいところだけど……」


“勤務中、だから”


そう言って軽くおでこにちゅっと。


「っ!そら、さ…」
「今はこれで我慢しとく!」


真っ赤になった私の顔を覗き込みながら頬の涙を優しく拭ってくれる。


「**ちゃんは泣いた顔も可愛い〜」
「や、やだ……っ」


そしてふと、ついさっきまで心に引っかかっていた事をそらさんに訊ねる。


「そらさん、あの……さっき約束をしてた人って………」
「ああ、施設のコたち?」
「施設…?」
「うん。俺がいた施設のね。毎年さ、俺の誕生日会を開いてくれるの。今まででも仕事で当日には行けなかった事も何度かあったんだけどさ、それでもまた日を改めていつも賑やかに祝ってくれるんだよ」
「そ、だったんですか……」


あからさまにホッとした顔をしたのをそらさんがすぐに察したのか、


「あ、もしかして**ちゃん、何か違うコトでも考えてた?」
「え!…あ、そんな……事…!」


真っ赤になって否定するものの、そらさんにはお見通しだったようで。
にこにこ笑いながらまた頭を撫でてくれる。
掌から伝わるそらさんの体温があったかくて気持ちよくて。
そらさんのぬくもりに触れただけで心が幸せな気持ちで満ち溢れていた。







「俺、ずっと此処にいるから。安心して?」


ベッドに横たわった私の傍でそらさんが私の頬を優しく撫でる。
その仕草が優しく、眠りの世界に導いてくれる。


「警護対象じゃなくなっても………ずっと、……俺が守っていくから…」



意識が遠のく前に聞こえてきたそらさんの囁くような声。
その言葉が、じわりと胸に沁みこんで私の心を温めてくれて。





「傍にいさせて……ね?**ちゃん」





―――私も。


ずっと、ずっと、


そらさんの傍にいたい。


これからのそらさんの誕生日、


叶うならずっと私が傍で祝えますように……




想いが通じた夜に


そらさんの生まれた日に


心からそう願った。





End.

Happy Birthday そらさん!!!!













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