秘密 (前)

目配せをされて、この先に抱かれることを察する。夜も更けたこの時間、大体呼び出しの体(てい)は、茶を入れろだの、資料の整理をしろだのまちまちだが、本当の目的は私を抱くことなのだと、もう何度も繰り返したことだ、わかっている。

「ああ、ああ…、いいよ、ナマエ。」

団長の性器を舐めながら、ぼうっとする頭でむかしをふり返る。‘むかし’って言っても、この関係がはじまったときのことだけれど。



――最初、何もいわずに、服を剥いで私の身体中を舐めて、挿入して、吐きだされて、果てたとき。

「あ、あっ、やめ…っ、だんちょ、や、やだっ!」

うすっぺらい拒絶のことばを私は何度も呟いて、彼の厚い胸板をふざけた力で押し返した。
本当に嫌な気持ち半分、このままやめないで欲しいと思ったのが半分。複雑な思いが熱にうなされながら絡み合っていた。
きっと団長は私が、団長を好きなことを知っていて抱いている。ずるい大人だ。
気持ちを利用して、身体だけ満足させるためだけに抱かれているのだと、知っていてなお、彼から離れられない私もまた淫乱でずるい女だと思う。





「く。――っ、イクっ…!」

眉間に皺を寄せて、口がだらしなく開かれている。彼の快感に悶える表情は、性器を愛撫しているときしか見れなくて、このひとときを私は密かに大事にしている。
団長は私の頭を両手で押さえて、喉の奥に亀頭を押し付けるようにぐりぐり差し込み、射精した。

「…んく、けほっ!んっ」

「…ナマエ、ここに座りなさい。」

団長は性器を露出しているだけで、身に着けている衣服の他の部分はまったく乱れていない。対して、私は、下半身は何も身に着けず、上半身の立体起動ベルトはそのままにブラウスの前のボタンだけ外され下着をずらされている状態で。そんな格好をさせられているだけで私のあそこはきゅんと熱くなってしまう。

そして、彼に指示されるがまま執務室の机に座らされて、そのまま、ぐい、と膝を左右に広げられる。
べつに触られたわけでもないのに、私の性器はもうすでに充分に濡れていて、彼は、ペニスの先端を、ちゅぷ、と音を立てて沈めては、抜いて、沈めては抜いてを何度か繰り返した。

彼のぺニスは彼の身体に相応に、とても大きくて、私 はきっといま恍惚とした表情でそれが入る様を見つめているに違いない。
でも、もういいや、彼は私が淫乱な女だなんてもうとっくに知っているはずだもの。
肉を押し広げて、硬いぺニスをゆっくりと飲みこんでゆく。
ひとつになる瞬間は、いつも、泣きたくなるくらい嬉しくて、ああ、ほんとうに、こんなでも団長のことが好きで好きで仕方ないんだなぁと思う。

「掴まって、ナマエ。」

「…はい。」

私は団長の首に腕を回して、身体を密着させる。彼の肩越しには無機質な壁だけが見える。
いつもどんな体位で繋がろうと、性器を挿入しているときだけは、彼の顔を見たことがない。
熱い息を細く吐き出して、団長は、ゆっくりと腰を打ち付ける。ストロークの長い抜き差しが気持ちよくて、それが徐々に速まってゆく。

それからは、もう、いつものように。
痛いくらいに、団長に掴まれている腰。
私はただもうめちゃくちゃに感じて、だらしなく涎を垂らして、こんな顔を見られなくてよかったと思うくらい、素直に蕩けた顔を彼の背中に晒していた。
大きなぺニスで奥まで突かれて、背中を仰け反らせる。

「ああ、もう、えるび…だんちょ、っ、だめ、」

「はっ、あ、っ、――く、イクっ。」

彼の声を耳許できいて、きゅうう、と膣を無意識にうねらせ、堪えていた欲をぜんぶ解き放つ。
私の中で精液を受け止めて、びくん、と腰を跳ねさせ、果てた。

20140420

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