新婚リヴァイさん。
友人からの「家族が増えました」のハガキをみて、ぽつりと奥さんは言った。
「子どもほしいなー。」
なんだ、そんなことなら早く言ってくれ、と言わんばかりに旦那さんは、ふたり腰掛けていたソファに奥さんを押し倒した。
視界が反転して、真上にリヴァイを見上げる体勢に、状況がよく呑みこめてないナマエ。
「なに、リヴァイ?」
「おまえが誘ったんだろう。」
「え?あ…、子どもほしいって?」
いやいやいや、だからって…!今?!などと、ナマエは混乱している。最もな反応である。
「…ち、違うよ。」
「…?」
「なんかさ、そうゆうほしいじゃなくて。」
リヴァイは、わけがわからん、とばかりに眉間にシワを寄せて見つめかえす。
「まぁいつかは、ほしいけど。」
「なら、…!」
「ちょっと、待って。」
「なんだ。」
寸止めを食らって、不機嫌な顔の旦那さんのほっぺたを撫でて、ふ、と笑ってナマエは言う、
「私にもなにか守る存在がほしいなって。」
「…ほう。」
「リヴァイと私のだいじなものをちゃんと守れる、‘お母さん’になりたいなあ、いつか、って。」
「……。」
「なんか、子どもの頃憧れてたのと、違うんだよね。やっぱり、大切な人との子どもって、ほしいような、こわいような。」
自分が母親だなんて、務まるのか。
――でも。
無償の愛をあふれるくらいたくさん注いで、子どもは両親をなんの躊躇いもなく愛して頼ってくれる。
そんな関係を、幼いころよりも現実味を帯びた今考えてみると、子どもができるって嬉しいような、怖いような。
「大人になって、責任をちゃんと理解するようになったからだろう、」
「かもね。っていうか、リヴァイはどうなの。」
「どう、とは。」
「子ども、ほしいの?」
「お前と結婚するまでは、要らねぇって思ってたけどな。まぁ、すぐにとは言わねぇが、ってとこだな。」
「じゃあ、良いじゃない。」
「…?」
ナマエは、上体を起こして、目の前のリヴァイに、チュッと可愛らしいキスをして、甘えるように抱き締めた。
「…まだ、ふたりきりでいたいの。」
「――っ!」
ナマエは、照れて頬を紅くしたリヴァイをちらりと盗み見て、ああ、幸せだ、と思った。
20140420
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