本当は

犬猿の仲:何かにつけていがみ合うような仲の悪さ。

こんな仲の人って本当に居るんだなぁと、のん気に二人を見ながら彼は考えていた。

「お前が絡むと本当にろくな事がねぇ!」
「うるさいわね!大体あんたが文句言わずに素直に『はい』って言ってくれれば全て丸く収まるのよ!」
「お前みたいな悪女の言うことなんざ誰が聞くかってんだ!」
「髭面が何言うのよ!汚く見えるからそろそろ剃っちゃえば?折角のお若いお顔がもじゃもじゃよ?」
「ブスに言われても有り難味を感じねぇんだよ!」
「デリカシーの欠片も無いくせに!」

大声出して痴話喧嘩する次元と不二子。初めて会った時は大丈夫そうだったのにな、この二人。でも何度か組んで盗みを働くようになってから次元が不二子の正体に気付いて…

あぁ、そうだった。
次元は不二子が嫌いだって言ってた。
で、不二子も次元が嫌いだって言ってた。喧嘩するほど仲が良いなんて誰かが言ったが、仲が良ければ喧嘩なんてしないんだ。嫌いだから意見が食い違い、その回数が多ければ相手のことが嫌になる。

でも、そろそろこの二人の喧嘩の間に挟まれるのは勘弁してもらいたい。
と、ルパンはこの頃切実に願っている。

「あのさぁ…二人共。今日はそのへ」
「大体お前がこんな女とサッサと縁を切らないのが悪ぃ!」
「ルパンは悪くないわよ。悪いのは私の言うこと聞かない次元だけよ!」
「おいお前もう少し学習しろ、ていうか考え直せ。こんなブスの何処が良いんだよ!?」
「ルパンは見る目があるのよ。あんたが目が腐ってるだけでしょ?」

そう言って俺の首に腕を絡ませる不二子。彼女のその言い草に反論する次元。

「おいルパン、そんな女やめておけ、女なんざ他に幾らでも居るだろうが!」

まぁ確かに。

「ダメよ。ルパンは私が居ないとダメなんだから」

まぁ確かに。
と言って彼女の豊満なその胸元に視線を投じるルパン。

「もっと女に強くなれ!」
「ねぇルパン?」

次元には腕を引かれ、不二子には抱き付かれ。

「あのねぇ…」

二人の幼稚な喧嘩に呆れながら、彼は再び考えた。


次元は腕が立つ頼れる男。
不二子は美人な愛する女。
この二人は自分には欠かす事の出来ない

「一部」なのだ。


「どっちも愛してっからさぁ…仲良くしてよぉ」
「お前は!」
「本当に懲りないわね」
「だって本当だし…」
「「ルパン!!」」

いつも仲裁に入るととばっちりというか八つ当たりされて終わり。
もう嫌だ、この二人。


だが、本当はこの三人の中で赤い彼が一番貪欲で欲張りなのだという事に誰も気付かない。


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