気付いたら朝になっていて、私はベッドの上で目が覚めた。
身動きが取りにくく、顔だけ上を向くとそこにはスーッと穏やかな寝息を立てるサスケの顔。私の体の上にはサスケの腕が乗っかっていたので、昨日泣き疲れた私を運んでそのまま寝落ちてしまったのかな、とか考える。
サスケの腕から抜け出し、自室で部屋着に着替えていると、リビングに人の気配を感じた。サスケが起きたのだろうことは容易に予想できた。
「オレは今日出掛ける」
「ん、分かった」
任務でもないのにサスケが1人で出掛けるなんて珍しい。忍具の調達はこの前2人でしに行ったばっかりなのに。
それでも、サスケにはサスケの用事があるのだと思い、私はその日一日何をするか頭を悩ませた。家に1人でいたら絶対に昨日の試験の結果を思い出してしまう。私も出掛けよう、と先程着た部屋着を脱ぎ、外出用の私服に着替え直した。
私より後に起きたのにさっさと先に家を出るサスケを見送ってから、私は家事を一通り終えて、久々にショッピングでもしようと木ノ葉の街へと向かった。
季節の変わり目だし、春服を買い足すのもいいかもしれない。私服用に膝丈のヒラヒラしたスカートと、淡い色のトップスなんてどうだろうか。服でなくても、年季の入った調理器具を買い直してもいいかもしれない。
そんなことを考えながら歩いていた時だった。
「なまえ!ちょっとアンタ、大変なことになってるわよ!」
山中花店の前を通り過ぎようとした時、イノに呼び止められたのだ。大変なこと、というと思い当たるのは昨日の下人選抜試験の結果。もう噂になっているのだろうか。
無視するわけにもいかず、苦笑いで実は…と昨日の結果を話す。すると、思いもよらない返答が返ってきた。
「なまえが落ちたことは知ってるわ。トビオが誰かに言ったらしい噂をチョウジが聞いてね。それなんだけど、今サスケくんが火影室に乗り込んでるらしいのよ!」
なんでも、キバ・シノ・ヒナタの班が下忍選抜試験を通って正式に第8班となり、火影様のところへ報告に行ったところ、サスケが乗り込んできて3代目に私の下忍選抜試験の結果について直談判を始めたとのこと。ただ、キバ達はその後すぐ帰されたため、事の結末は分からないままだという。
サスケが直談判?本来直談判するなら、当事者である私がしないといけないのではないか。私が諦めかけた”今年下忍になる“ということも、サスケは諦めていなかったのだ。
いてもたってもいられなくなり、私も火影室に向かうことを決意する。
「…私も行ってくる!」
手短にイノにお礼を言い、私は屋根伝いに火影室へと急いだ。
見えないところで