天使の寝顔最近、殺生丸がなんか可笑しい。 (あー、またか・・・) ふっと意識が浮かぶ感覚。次いで寝苦しいほどの暑さに、蓮子はノロノロと顔を上げる。 すぐ側に、白い美顔があって、起き抜けに目の保養をさせてもらう。 (無駄に綺麗な顔してんなあ・・・) 目は閉じているが、起きてはいるのだろう。その右手は不自然に動いていた。 最近、蓮子が寝ていると、殺生丸が忍び込んでくるようになった。目を覚ますと、がんじがらめに巻き付かれて身動きがとれなくなっているのだ。自分より二周りも大きく、力が強い殺生丸に拘束されると、蓮子は手も足も出ない。 モゾ、と腹部に違和感があって、蓮子はビクリと震える。 (オイオイ・・・) 殺生丸の右手が服の中にまで侵入し、脇腹を撫でていた。 怒るべきか? と、疑念が過るが起き抜けで思考が働かないのと、殺生丸の手は乳や尻には触れないので、微妙に怒りが湧かないのだ。 (さすがに育児はしたことないぞ。) 赤ちゃんみたいだ。と、思うと、蓮子の母性がくすぐられてしまうのだが、流石に嫁入り前の娘としては心を鬼にしなければならないと思う。 「くぉら。」 目の前の白い頬をぷにっと摘まむ。すべすべな肌で、なんとなく解せぬ。と思う。 ゆっくりと開いた金の瞳が不機嫌そうに睨んでくる。 「何をする。」 「こっちの台詞じゃ。」 いけしゃあしゃあとはこのことか。 ひとの布団に勝手に忍んでおきながら、この言い種だ。 「・・・お前も私の閨に忍んできていただろう。」 「ぐっ!」 それは髪を切られて連れ去られたときのことだ。 妖怪屋敷に軽く軟禁状態だったのだが、初めは蓮子も妖怪のことをよく知らずまだ少し恐怖心があったため、よく殺生丸の側で寝ていたのだ。 結局それも、蓮子からしたら殺生丸のせいなのだが、一緒に寝るという行為に対して文句を言いづらいのは事実だった。 (途中からモフモフ目当てだったしなー) 後ろめたいことばかりだった蓮子は、だったら仕方ないのかな、と悩んでいるうちに、殺生丸のモフモフが優しく身体を撫ぜてきて、ついつい、うつらうつら、とまた寝落ちしてしまうのだった。 餌付けならぬモフモフ付け。 リハビリ期の殺生丸が夜這いし始めた頃です。夢主が本調子ではなく、寝ていることが多かったので、いつの間にか忍び込んでる。 (23/10/7)仮タイトル『バブみがすごい』(笑) 前へ* 目次 #次へ ∴栞∴拍手 |