無題ドキュメント | ナノ


prorogue

「わー!かっちゃんの『こせい』すごいね!」
「これでびらんをぶったおすんだ!」
「かっちゃんすげー!」

 四歳になる少し前、幼なじみの個性が発現し、幼い私はそれを見てワクワクした。すぐに家に飛び帰って、両親に報告した。

「すごいんだよー!きれいなハナビみたいなのがボーンって」
「あらぁ、それは凄いわねぇ」
「あーちゃんの『こせい』もはやくでないかなあ!」

 そう言った瞬間、母の顔が哀しげに曇ったのを覚えている。母は優しく、常に笑顔を絶やさない人だったため、初めて見る表情に子供ながら、不安を覚えたのだ。

「あーちゃん、ちょっと待っててね」

 そう言って、私の頭を一撫でし、母は隣の書斎に向かった。そこは父の仕事部屋だ。すぐに母は中にいた父と戻ってきた。

「あーちゃん、よく聞いてね」

 ソファに座る私に向かうようにカーペットに座る父と母。その表情はとても真剣で、これから何が起こるのか、想像もできない幼い私はわけのわからない恐怖に、ただ黙って頷くことしか出来なかった。


「アリア、あなたはね。『      』なの」


 現実は残酷だ。
 これが齢四歳にして知った

 『 この世界のことわり 』だった。

 そして私の、最初で最後の、“絶望ざせつ”だった。









ネタ帳から転載。



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