ゆめ連載没ネタ


「ななし! おっはよー!」
今日も今日とて七松先輩は前触れも無く私の部屋を訪れた。全く、私が着替え中だったらどうする気なんだろう。いつか注意したい。…なかなか出来ないけど。
「良い天気だ! 遊び行こ!」
今日は休日。笑顔全開の七松先輩は私服だった。どうやらデートの誘いに来たらしい。
「ごめんなさい先輩。今日はちょっと予定があるんです」
「予定?」
「きり丸くんにアルバイトの手伝いを頼まれてて…」
そう、今日はきり丸くんに売り子の手伝いを頼まれていた。売り物が女性用小物だから女装の方が売りやすいらしいのだけれど、仲良しの乱太郎くんとしんべヱくんに手伝いを頼んだら「女装は嫌だ」と断られたらしい。ユキちゃんトモミちゃんおシゲちゃんに頼んだら見返りを求められるだろうしな〜と考えていた矢先、私が本を借りに図書室へ現れたというのだ。
きり丸くんと私はそれなりに仲が良い。可愛い後輩の頼みだから無碍に断るはずもなく、一つ返事で了承した。
「じゃあ私もきり丸を手伝う!」
「え? いえ、きり丸くんは女子の売り子を求めてたから、私に声を掛けて来たみたいで、」
「なんだ。女装すればいいのか」
「…は!?」



「なぞの先輩…なんであんなの連れて来ちゃったんスか…」
「ごめん…でも付いてきちゃったんだよ。私は止めたんだけど…」
「あれが居たらかえって僕一人のがマシですよ! 台無しです!!」
「なー! お前らどうしてそんなに離れて歩くんだー!?」
ヒソヒソ会話する私達の十歩先を歩くゲテモ…じゃない、女装した七松先輩が振り返る。あ、無理だ、直視出来ない。
「すんません七松先輩! 僕、女性用着物に慣れてなくって、なかなかうまく歩けないんスよ! 気にせず先に行ってて下さい!」
「? そうか!」
さすがきり丸くん、返事に機転がきいてるなあ。
そのまま前に向き直り、女性とは思えない大股でずんずん歩いて行く七松先輩。む、無理があり過ぎる…。
「あれじゃ絶対お客来ないですよ…」
「だよね…困ったな…」
部屋を出る前、"私も女装するから連れていけ!"と駄々をこね出した七松先輩はその性格相応に化粧の仕方も豪快だった。厚化粧をはるか通り超えて最早塗りたくりお化けである。正直、気持ち悪い。伝子さんのギリギリ二歩手前ぐらいの域で気持ち悪い。恐ろしくて言えないけど。
「はあ…」
「ごめんね、ごめんね、私がはっきり断れなかったばっかりに…」
「いや、いいんスよ…。結局僕も同じですから…」
「売り上げにはならないけど、帰り、お団子食べて帰ろう? 私、奢るよ」
なんだか罪悪感でいっぱいになってきた。私が悪いのかは果たして不明だけども。







書き掛け未完。






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