儚き夢
捕縛、真実は闇の中1
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捕縛、真実は闇の中
「フレン、何かわかりましたか?」
「ヨーデル様、申し訳ありません。
ご協力頂いているのに、まだ何も掴めておりません」
「急ぐ必要があるのは確かですが、体には気をつけてください。
彼女もフレンが倒れるのは不本意です」
「はい、ありがとうございます」
「ニルギース家について知っている事を話しましょうか」
「知っているのですか?」
「遠縁ですから」
フレンは目を見開いた。
ヨーデルは椅子に腰掛け、フレンに促した。
「ニルギース家は元々は伯爵家でした。ある時、一人の皇女が伯爵家の長兄と恋に落ち、結婚しました」
「ニルギース家は皇族の方なのですか?」
「血だけで言うならそうでしょう。
ですから、少なからずエステリーゼの様な能力がある筈です」
「皇族が騎士になるなんて……」
「前代未聞です。ですが、彼女達は僕やエステリーゼを守るが口癖でしたから」
「達……?」
「それはおいおい話します。
彼女達が騎士になった理由は僕やエステリーゼが始めですが、彼女達はそれ以上に騎士になってよかったと言っていました」
なら、何故騎士をやめた?
そう疑問が浮かぶ。
「失望したからです。騎士団と評議会、それと……帝国に」
フレンの考えている事を見透かした様に、ヨーデルは言う。
かつて、ユーリがそうであったように彼女達もまた、帝国に失望したのだ。
「四年前、ニルギース家に不審な動きがありました。
ニルギース家にはアリアとマリアという同い年の姉妹とその弟、レイトがいました。確か、アリアとマリアはフレンやユーリさんと同い年です。レイトの話は飛ばしますね。
アリアは行動派でマリアは穏健派。二人とも騎士団に入隊しました。容姿で違うのは瞳の色だけ。
アリアは蜂蜜色の瞳、マリアの瞳は蜂蜜色と新橋色です。これは知っている事でしょう」
「……」
なら、マリアはどこに行った?
「四年前、ニルギース家で行方不明者がでました」
それはとても静かな部屋に、よく響いた。