桜みたいに美しく狂いたかった


 倖せの句読点にあなたを訓む
 ねえ、わたしたち、死んでしまおうか
 おかしいな生きていたくなんてなかったのに
 それはとってもすてきなこと
 あの日の続きだって今日おわり
 輪廻に閉じ込められたくない
 目覚めたらきっと雨が降ってる
 きっと帰り道を忘れることをお約束しよう
 愛すために作られたのではないからだ

 素直になる薬は売りはらってしまった
 天に殺されようが地に殺されようが変わりなどありはしません
 きっと世界は僕たちに優しすぎたのだ
 多くの人に愛でられるより今ここであなたに手折られてしまいたいの
 安らかに眠っていられない静けさだ
 君の両胸にしまいこんだモンスターさ
 いつか割れてしまううつくしいガラスビンでも
 とこしえに喪われたものを補うように

 桜みたいに美しく狂いたかった
 汚れてしまうまえ雨がやまないで
 うっすら気づいていた
 ここに神様はいない、ふたりきり
 やわらかい土にどうか墓石を置かないで
 ともってしまったらあとはおわりをまつだけで
 はぐくめる繋がりのそと
 芽吹いても祝福されないこと
 手折り少しだけ泣きました

 きっと愛してやるから
 まだ指先は冷えたままです
 今度こそ僕よりも大切な誰かを見つけられますように
 幻よりふたしかなものになりたかった
 つがいの死骸
 抜け殻に息衝いて
 目を覚ましてしまう
 誰かのものになっていたらあなたは手を伸ばしてくれたでしょうか
 こんな明るくては二度と眠れない

 しあわせのあるべきすがたでなくとも
 窓越しに君が笑っても
 銀河鉄道に轢かれて
 わたくしたちのしたいはまだ美しすぎるのでまだ生きていよう
 泣かなければならないことが多すぎる
 死に至らない不毛なやまい
 あなたをののしる唇が苦しがる
 何かを残すにはわたしたちは長く生きすぎたから

 幸せになんかしたら許さないから
 あなたが沈んでいる海域
 のこしていくもの
 神さまがよく泣いている
 壊れてしまっても泣いていていいですか
 代替品に代わられてしまうような完璧でないものでいたかった
 あなたがいる環状線を今日もめぐるのだ
 幸せにならないためにここにいる
 自分が手の届く範囲が世界なのだ
 喪失とは等価に無価値となることだ

 あっけなくたやすく、あなたは生きるのさ
 つちくれさえあなたのものならいとおしい
 よく燃える
 よく萌える
 目がさめたら隣に熱が欲しいの
 こわれていくのもこわれきったものもいいものだ
 雪解け水が咽を焼く
 マッチならくれてやる
 眠る前でないとうまく愛せないのだ

 ほのおよりつめたいおんどでした
 幼い私は落下した
 ずれていくベクトル
 嫌いの意味が変わっていく
 │
 花束より温度を
 朽ちたいと思考する光景でした
 たいへん不本意ではあるのですが
 くるおしく紛れもなくお前だけを希っていた

 こんなに好きになるはずじゃなかった
 春が来たってふしあわせ
 いつのまにか花びらが凍って死んでいた
 みどりごのまま叫びたくなった
 さぞかししあわせでしたかね
 はじまりの象徴として死のう
 のくせに歌うのだけうまいのね
 いつかは褪せてしまうのに

 救いなど無いかもしれなかった
 僕を殺して、殺人者になってよ!
 かけがえのないものを失くすために
 クラスルームから全てを持ち帰りすべての想いを置いてきました
 裸芯
 ひさしぶりにこのひとのほかになにもいらないとおもっている
 ブリザーブドフラワーが生花を憐れむことがあるものか
 さみしいと言ってみたかった

 おまえがわたしを殺し損ねたりするから、わたしは他人に殺されなければならないんだ
 隱に褪める釐いを
 絶えようとしても吹きかえす惨めないのちだ
 いっそ今年のカレンダー燃やしてしまおうよ
 懷かしい罰を浮かばせるかんばせでやはりあなたは笑っているのだ
 そんな鮮やかさでまどわせてしまわなくては
 みなみなさま気がふれてしまったようね
 喝采を、快哉を、災禍を大盤振舞いさ







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