始らず死らず


私の死たる朝に挨拶
なんてことはない絶望
ぼくのおさないうつせみ
爪先でレクイエムを口ずさむ
最初から選択肢はこれだけだった
君が見えなくなってから子守歌を歌ってあげる
スコープは思い出をなぞる
黙秘した嘘は飲み干した盃の底
神が投げて寄こした僕たちの制約
あの日の約束は嘘に溶いた
神様が不在の冬
噤む横顔
日曜日の天使たち
おなかの中に残したままの恋は時とともに熱を持つ
存分に絶望して呉れ給まへ
僕たちはごまかしあっている
ほろ酔いを噤んだままでも走ってゆけます
崖の先端で裏切るのだけはやめてください
鬱血した心臓の底に沈めた涙を探す
あなたの睫毛に舌を寄せるだけしかできない苦しみを言葉にするのはもうやめにしたのです
あなたが思っているよりずっと、私はそれを大事にしている
悲しみの傷口は熱を奪う
あなたにとっては骨を埋めるような恋だと
君ののこぎりのような断面に舌を寄せる
自由に泣いたのに、あなたはそれを手放さない
首を垂れるまえに僕を見て
ばかたれ、ばれたか
年上ぶる年下の寓意には全身全霊の誠意で返すべきだ
ウィーアーナットストロング
罪滅ぼしのつもりだったのならもうそろそろ私を見捨てて
冷たい感情でも振りかざせば好きでいられると思ったの
あなたこの世界でいきていられるの
きっとあなたは私の知らないところで咲いて、そして
目を見て、名前を呼んでよ
僕の考えてることわかんなくていいから、黙ってずっと傍にいてください。
あなたまた私を解剖したいって思ってるんでしょ
三度目にして恋と知った
悲哀って砂糖菓子みたいなものね
喉が灼けるほど慟哭を飲み干した
看破されるべき視線
死線の上に座り込む
不自然な希望
おしゃべりな墓標
そんなものなくていいよ







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