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「で、どうするんだ」
「え?」

 これはもう適当に世間話でもして早々に立ち去るしかないと思っていたところに、数見室長の方から意外な話の振られ方をして、俺は堂々とくつろぐ上司の顔を間抜け顔で見つめ返した。

「これ以上待っても今日はどうせ人なんて来ねえだろ。夜になりゃ少しは賑わうかも知れんが……その前に干からびちまうぞ」

 確かに、その通りではあるが。
 意味ありげに笑う室長の顔に雄の色気を感じて、俺の下半身は怪しい熱を帯び始めた。

 もしかしてこれは、誘われているのか?

 実は遠隔操作型の超精密ロボットで年に一度は社内のどこかにある極秘の研究施設で電気系統のメンテナンスを受けているらしいとまで噂される堅物の男前室長が、新年早々ハッテン場で部下を誘うなんて意外過ぎて、すぐには状況が理解できなかった。

 というか、そもそも部署の微妙な対立関係や正反対の性格から俺は数見室長にあまり良い印象を持たれていないと思っていたのに、この展開は何なんだ。 

「そうっすねー……正月の真っ昼間からこんなトコに来る物好きもそういねえか」

 滅多に冗談を言わないタイプだと思っていたが、数見室長流の軽いジョークなのかもしれないとも思いつつ、視線はしっかり貴重品ロッカーのキーの位置を確認してしまう。
 キーの付いたバンドを右手首に巻いていればネコ、左がタチ。
 
 恐る恐る確認したキーは、数見室長の太い右手首にしっかりと巻かれていた。

「――ネコ、出来るんすか。すげえ意外かも」
「頼まれれば抱くことも出来るが、俺はケツの方が感じるらしい」
「へえ。男にケツマン犯されて喘いでる室長の姿なんて想像できませんね」

 実際、会社での徹底した堅物ぶりからはそんな姿は想像できない。
 が、目の前の男を改めてよく見ると、顔も身体も極上というか。ど真ん中ストレートで俺の好みのタイプだった。

 俺と並ぶほど背が高くて、普段の作業着や白衣姿でも身体つきがガッシリしている印象はあったが、股間にタオルを一枚乗せただけの姿はかなり刺激的だ。
 程良く隆起した胸筋のボリューム感と、触り甲斐のありそうな小さな褐色の乳首。
 引き締まった腹や逞しい腕に浮かぶ汗が濃厚な雄の色気を醸し出していて、今すぐにでも押し倒して全身を舐め回してやりたい欲求に、股間のブツがじわじわと熱くなり、タオルを押し上げ始める。

「試すか?」

 年上の余裕なのか挑発的な口調で誘う課長に、俺もまだ余裕のあるところを見せたくて、茶化すように答えた。

「俺みてーな若造が相手でいいんすか」

 ここまできて、やっぱり冗談だと言われても引く気はない。
 答えが何であろうと喰ってやる気満々の俺の前で、数見室長は立ち上がって、股間に乗せていたタオルを肩にかけ直した。

「こんなオヤジ相手にお前のマラが勃つならな」

 室長も俺と同じように興奮していたのか、巨大なペニスは既に半勃ち状態になっている。

「むしろ俺、室長みてえな逞しい兄貴系の方が好みっすよ。ただ、あまり優しくないかもしれないんでその辺は期待しないで下さい」
「営業部稼ぎ頭のブツとテク、楽しませてもらうぜ」

 俺は座ったまま腰に巻いていたタオルを解いて「取りあえず、舐めて勃たせて下さいよ」と、目の前に立つ男に見せつけるように半勃ちのソレを扱き始めた。



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