ついこないだまで、沖田の隣には学年1の美少女がいた。

そして一週間ほど前からは、沖田の隣に--−私。


「意味わかんないアル」

「は?」

「何故に私なのヨ」

「理由でもいる訳?」


むぐぐ、何も言い返せない。こんな少女漫画みたいなクサイ台詞このサド野郎には似合わないって思いながらも、正直な私のオトメ心はときめいた。


「だって、わざわざあんな美人ふってまで…やっぱり意味わかんないネ」

「俺は端からあいつに興味なかったんでさ」

「言い寄られて承諾する軟派な男もどうかと思うけどナ」

「や、…仕方ねーだろィ」


私は漫画みたいなロマンチックな台詞は言えない。
代わりに現実味に溢れた鋭い右ストレートをお見舞いしてやった。
今度は沖田が口をつぐむ番だ。あれ、優越感。


「でもやっぱり、あの子可愛かったアル」
「まぁ、顔はな」

「私、お前と歩いてるとごっさ睨まれるネ。女子から」

「あれじゃね、何でゴリラが学校にいるんだろーとか思われてんでさァ」

「ビンゴアル」

「え、え?」

「可愛くないとか有り得ないとか超言われるネ」


はぁーと溜め息。
そりゃあこんな分厚い眼鏡だし胸はないし身長も低いし…ふっくらした可愛らしい体のラインもない。所詮ガリでぺちゃなちびっ子なのだ私は。
分かってはいるけど、だから余計に沖田の隣にいる私が惨めで仕方がない。

沖田は顔は悪くないし、髪だってサラサラだし。目も大きいし…悪いのはその性格と性癖だけだ。
所謂イケメンというやつなのだろうか。
そんな沖田と私、どう見たって不釣り合いだ。


「やっぱり私なんかじゃダメなのかもネ」
「…チッ、ホントにダメな奴だなお前」


言うや否や、そのままくんっと腕を引っ張られて、沖田の腕にぽっすり収まってしまった。

コイツこんなに大きかったっけ。


「俺がいいってんだクソチャイナ」

「く、クソとは何ヨ」

「くだらねー心配してんじゃねえよ」


黙って俺に可愛がられてろィ、なんて言われたあかつきには私はすっかりマダオになってしまった。

ああ、頬が熱い。



まるでだめなオトメ


まるでダンディーな沖田には敵わないアル。



――――
恋魂の小兎様から相互記念にいただきました^^
ギャップ萌え!!ちょっと沖田に余裕がある感じがたまらなくタイプです。チャイナの可愛いさが分かるのは俺だけで良いんでィ的なね!
素敵な小説ありがとうございました!



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