08.


「…ん、ん〜。…寝ちゃってたアル。今何時アルか…?」

「7時半」

「えっ!!もうそんな時か…ん?」


本来なら返ってくるはずが無い、独り言への返答。それが隣の自分の席から返ってきた。神楽は恐る恐る横を向いてみると…

「よう、おそようごぜぇやす」

沖田が神楽の席に座っていた。


「ギャーッ!!何で私の席座ってるアル!?てか帰ったはずだロ!!」

「そのセリフ、そっくりそのままバットで打ち返すぜィ。そこ、俺の席」


自分の席を指を指して「どうしてだよ?」と訊ねた。神楽はその問いに対する答えが見つからなかった。
(だって沖田を少しでも近くに感じたかったアル…)


「ま、それは良いや。チャイナ、メール来てたぜ」

「メール…?あっ!そうアル!たしか読んでる途中で寝てしまったネ」


そう言うと神楽は携帯を開き、土方からのメールを読み始めた。神楽自身、何故呼び出されるのか理解でき無いような顔をしていた。


「土方さんの呼び出し…残るのかよ。明日の放課後」

「なっ!何で知って…読んだアルか?」

「携帯開きっぱなしだったから閉じてやろうと思っただけでィ…」


勝手にメールを見られた怒りのせいか、はたまたまた違う理由か神楽の顔はどんどん赤くなった。


「…残るアルよ?だって何か私に用事アルんだロ?」

「やめっ…………や、やっぱりな〜。お前帰宅部だから放課後も暇だしねィ」

「うるさい!!帰宅部でも渡鬼を見なきゃいけないという任務があるネ!超忙しいアル!」

「へいへい…」


(さっき…俺、"止めろ"って言うところだった…。俺にチャイナが告白(されるであろう)の邪魔をする権利なんてねぇのに)


「土方さんはマヨラーだけど悪い奴じゃないですぜィ…」

「?急にどうしたネ?多串君が良い奴なのは知ってるヨ?マヨラーだけどな」


にししと笑った神楽。
土方さんなら…安心できるな。
だてに長く付き合ってねぇし

でも、なんだこれ。胸の奥がチクリと痛んだ。

(長年連れ添っていた悪友が離れるって思うと寂しいのかねィ…)


「で、沖田は何で戻ってきたアル?結局何もしないでただ座ってただけアル」

「あ〜…いや、お前独りで掃除させるのはやっぱ悪いなと思って戻ってきたんだけど、もう終わってたんでィ」

「わざわざ戻ってきたアルか!?」


沖田のちょっとした言動で喜んだりしてしまう。

(沖田の席に座って沖田の事考えてたからアルか…?私の気持ち届いたアルか?)


(私こんな事だけで喜べちゃうんだヨ?)




―まさか明日の放課後に2人の関係を変える大きな出来事が起こるなん、て今の2人には予想もできなかった…



「何か食って帰るかィ?」

「アイス!」





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