06.


6時間目が始まり3Zの教室の生徒は眠気が最高潮になり教科書を盾に眠りこけているものが多数だった。
真面目と地味さだけが取り柄の新八も鼻ちょうちんを作り、夢の国へと旅立っているようだ。


授業をするはずの銀八でさえも教科書でジャンプを隠し、黒板には役に立つのか不明な(実際役に立たないだろう)ジャンプの今後について等をつらつらと書き連ねている。



銀八と言えば神楽と一緒に遅れて授業に来たな…。
どうせ飯でもたかりにいったんだろうけど、そんだけで15分も遅れてくっか?


「チャイナ、チャイナお前なんでこんなに遅れてきたんだよ」


静かな午後の教室で声が響かないように小さな声で神楽に尋ねた。


「お前に関係無いだロ…」

「いや、そうだけど…そんなツンケンすっことねぇだろが」

「なにアル?もしかして私と銀ちゃんの間にやらしい事あったとか考えてるんじゃないのカ?わー、沖田君ってスーケーベー」

「はっ、んな訳ねぇだろィ。チャイナこそ髪の毛だけじゃなくて頭ん中もピンクなんだろ?」

「私はそんな中2の夏みたいな頭ん中じゃないネ。お前は中2の夏だろうけどな」

「言うじゃねぇか。久々にやるかィ?」

「上等!!」



沖田と神楽が椅子から立ち上がり、取っ組み合いの喧嘩が始まった。
眠りに入っていたクラスメートも目が覚め机と椅子を教室の端に移動させ安全を確保した。


「なんか神楽ちゃんと沖田さんの喧嘩って久しぶりじゃないかしら?」

「姉上もそう思いますか?最近は2人とも大人しかったんですけどね。まぁ、これが普段の2人なんじゃないですか?」



********



2人が暴れ終わった教室は嵐が過ぎ去ったかのような荒れ具合だった。
銀八が後片付けをするように2人に命令し教室を去ってしまった。


――久しぶりな2人きりの空間

そこに響くのはサッサッと箒を掃く音のみ


「…チャイナ、お前最近よそよそしかったよな?俺に対して怒ってた?…もしかしていやがらせの手紙気にしてたのか?」

「……別に怒って無いヨ?サドが心配するとかおかしいアル!明日は槍が降るアルね!」


あははと神楽が笑い、沖田は神楽の不機嫌の原因が自分では無いと解ると安堵のため息をついた。
2人の間に前までの自然な雰囲気が戻っていた。


―――その時、


〜♪〜〜♪♪〜

沖田の携帯が鳴った。どうもメールらしい。携帯を開いて内容を観た沖田は返信に困ったような顔をして、指は動いていなかった。


「どうしたアル?多串君?部活に早く来いって?」


神楽が沖田の携帯をのぞき込むとディスプレイにはハートやら表情豊かな絵文字やらが入ったメールで、『下駄箱でまってるね』という内容。土方では間違いなくないと解った。(彼のは顔文字すら入っていない)


「………あ、あ〜…彼女待ってるアルか?良いヨ!!残りは私がやっとくアル!あと机を運ぶだけだしナ」

「でも、チャイ、「このお礼は酢昆布1ヶ月分で良いヨ!さっ、行った行った!じゃぁな〜、明日ネ」



神楽に無理矢理に鞄を持たせられ、ぐいぐいと背中を押された沖田は半ば強制的に教室から閉め出されてしまった。



「なんだよ、チャイナの奴…」





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