「はぁー…何で今日に限ってこんなに忙しいのかなぁ」


学校からの帰宅途中、新しく出来たコンビニでバイトをする事になったのは先月から。

欲しい服やバッグもたくさんあるし、お母さんに前借りしたお小遣いも返さなくてはならない。従って、やらなきゃいけなくなったアルバイト。友達も始めたって言ってたし、少し早い社会勉強だと思えば苦ではないのかなと思う。

そんなバイト先も慣れてくれば楽しいもので。店長も先輩のお姉さんも、同級生の男の子も。優しくて丁寧でイキイキと自分が出せる職場に居心地の良さを感じていた。



淡々と変わらぬ毎日を過ごす私に変化が現れたのはここ最近。
出来たてのこのコンビニの近くに住んでいるのか、よく利用してくれるお客様で気になる人を発見した。

茶髪でそんなに背の高くない男の人。多分、歳も私とそう変わらないと思うんだけど…。
いつも颯爽と入ってきて、お水とお茶、それにおにぎりとポテチを買って帰るの。

会話は勿論事務的な事だけで。
もっとお話したいなー。とか、その真っ直ぐな瞳に見つめられたいなー。とか。

あれ?ちょっと私イタい人?



名前も学年も知らないー…けれど気になるその人とは、いつも決まって夕方のこの時間帯にしか会えない。まぁ、私の上がりも割と早いし仕方のない事だけど。

何とかお近付きになれないものか?と試行錯誤するにも只の変人として警察行きになるのもイヤだ。
ここは大人しくじっくり待つのがいいのかもしれない。ちょっと残念だけどね。


──ウィーン


「「いらっしゃいませ」」

「…!いらっしゃいませ」

「ごめん名前ちゃん、ちょっと来てくれるー?」


私の思考も一旦中止。どうやらお客様がいらした様だった。

あ、接客に戻らなきゃ!

レジに向かうそんな私を呼び止める様に響く店長の声。何やら手が放せないみたいで、その姿は未だ確認できない。

賞味期限間近の商品に値引きシールを貼る手を休め、目的地を変更。そのまま店長の元へ急いだ。




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