モプ子と私
「……ナマエ、何してんだよい」
「あ、マ、マルコ隊長……」
「…………バツが悪そうな顔するくらいなら、掃除してねェで休んでろい」
「俺、ここの汚れが一昨日から気になってたんです……」
「休んでろい」
「いやでも、熱はもう下がってますし」
「一昨日ぶっ倒れた奴がよく言うよい」
「一昨日はアレ、熱があるのに水被ったり駆け回ったりした所為だと思うんですよ」
「馬鹿は風邪引かねェってのは、馬鹿は風邪を自覚できないからだって話、聞いた事がねェかい?」
「つまり俺は馬鹿だとそういいたいわけですかマルコ隊長、ひどいです」
「お前は掃除馬鹿だろい」
「心外です」
「そう思うんならさっさとその手のモップを寄越せ」
「俺からモプ子を奪うなんて……っ ひどいです、マルコ隊長!」
「………………名前つけてんじゃねェよい」
「げんなりしないでくださいよ」
「いいからさっさと寄越せ」
「あああああモプ子おおお!」
「そしてお前はさっさと部屋へ戻って寝ろい」
「いた! 痛いです隊長! 引きずるならせめて襟首を! 襟首を掴んでください! はげる! あとモプ子返してください!」
「うるせェ奴だねい。お前のモプ子は全快するまでおれが預かっとくよい」
※
「マルコ、ナマエいじめただろ」
「エース? 急に何の話だよい」
「ナマエ泣いてた。可哀想だろ、人の女に手ェ出すのは最低なんじゃねェのかよ」
「……何の話だよい」
「モプ子ってやつ、返してやれよ」
「…………………………定着してんのかい」
end
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