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誕生日企画2015(1/3)
※まったり主人公とシャンクスとベックとマルコ
※名無しオリキャラがちょろっと注意



 明日は、マルコの誕生日だ。
 白ひげ海賊団の一員となってから、もう随分と時間が経っていて、何度か祝ったことのある今日の日付をカレンダーの上に見つけた俺は、ふむ、と一つ頷いた。
 ちょうど島についたことだし、何かいいものが買えないか探しに行くか。
 別に相手を驚かせたいとかそんなことを考えたわけではないが、旨い具合にマルコには作業が割り当てられていることだし、と朝部屋を出て行った誰かさんを思い浮かべて、今のうちだなと身支度をした。
 以前マルコに貰ったサッシュを腰に巻いてから、あまり使わずにいるうちに溜まってしまったベリー入りの財布を押し込み、落としたりする問題が無さそうなことを確認してから部屋を出る。
 マルコがいるだろう倉庫のあたりをそろそろと避けてから、俺はそのままモビーディック号を後にした。







 降り立った島は、グランドラインらしく、俺の知らないものが常識的に存在している不思議な場所だった。
 片手に掴んだ紐で雲のような何かを引いて歩く人間が多く、その上に人や物が乗っていることもある。
 シャボンディ諸島とやらで言うシャボンみたいなものだろうか、なんてことを考えながらその様子を見送って、まあとりあえずそれは放っておいて店でも見て回るか、と周囲へ視線を向ける。
 人が多いからか、露店もその前を行き交う人間もたくさんいて、何やら雑貨を並べている店へ近付こうとしたところで、どん、と人にぶつかってしまった。

「わっ」

「あ、すまない」

 驚いたように声を上げた少年へそう言葉を投げて手を差し出すと、こっちこそよそ見してたやごめんね、なんて言葉を零しながら俺の手を掴んだ相手が立ち上がる。
 どうしてかこちらから目を逸らしながらすぐに離れて行った少年に軽く首を傾げてから、俺は改めて目を引いた露店へと近付いた。
 いらっしゃい、なんてあまりやる気のなさそうな声で寄越された歓迎に頷いてから、ひとまず店先に出ていた商品を確認する。
 どうやらペーパーウェイトらしいそれらは、随分と手ごろな値段だ。
 まだ『この島特有の何か』は発見していないが、これも一つ買っていこうか。
 そんなことを考えて、ぽんと自分の財布が入っているあたりに手をやる。

「……?」

 とん、とんとんと自分の体を数回叩いて、求めたふくらみが無いと言うことに気付いた俺は、少し前かがみになっていた姿勢を戻した。
 それから自分の腰へ目をやって、改めて自分の財布の在処を確認する。

「…………落としたのか」

 そして必要なものがそこに無いと言う事実を検めて、軽くため息を零した。
 まだ島へ降りてから一度も財布に触れていないと言うのに、一体どこで落としたのだろうか。
 つい先ほど子供とぶつかった辺りを見やってみるが、やはりそこには何もない。
 どうしたものかと少しだけ眉を寄せたところで、ぽんと俺の肩が後ろから叩かれた。

「よう兄ちゃん、これアンタのだろう」

 言葉と共に真後ろから肩越しに差し出されたものを、反射的に受け取る。
 手に触れたそれは間違いなく俺の財布で、そのことに気付いた俺はくるりと後ろを振り向いた。

「どうもありが……」

「お?」

 礼を言う途中で相手の顔を見やったところで、そこにあった随分と知っている顔に、思わず言葉が止まる。
 そんな俺を見返し、少しばかりの驚きを表情に浮かべた相手が、それからにかりと明るく笑った。

「ナマエじゃねェか。久しぶりだな」

「……ありがとうございます、シャンクスさん」

「おう! にしてもナマエ、お前案外鈍臭ェな」

 スリに遭ってたぞと言って笑った赤髪の海賊に、なるほど道理で、と俺が打った相槌は間抜けな響きを持っているように聞こえた。



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