初恋歴程 (1/3)
※主人公はドンキホーテファミリー(古参)でNOTトリップ主
※ドフィ脱走ねつ造
※微妙にモブ女キャラにセクハラするので注意?
※ほんのりとモネ→ドフィの雰囲気もあるので注意
外で大きな音が鳴っている。
それを無視して足を動かしたおれが向かったのは、とある軍艦の船倉だった。
牢に入れられたおれたちの『王様』が、海楼石の錠を身に着けてそこにいるのだ。
「よう、ドフィ」
「……フッフッフ」
牢屋の向こうへ声をかけると、ややおいて笑い声が聞こえた。
じゃらりと耳障りな物音を立てて、仰向けに寝転んだ格好のドフィが口を動かす。
「……ナマエか」
「そうだよ」
逃げ延びたのかと続いた言葉に是と答えて、おれは片手を牢に触れた。
海兵を何人も叩きのめしてここまでやってきた。
用意はできる限りしたが、ここにいられる時間なんてそんなにないだろう。
能力者を阻む海楼石の檻は堅いが、手に入れてきた鍵でどうにかそこを開く。
中へと入り込むと、おれのそれに気づいたドフィが少しだけ首を動かした。
「シュガーが見つからねーんだ。別の船か?」
尋ねると、いつも通りにサングラスをかけたまま、その視線がこちらの顔をなめる。
それを見下ろすおれは、一体どんな顔をしているんだろうか。
わからないが、笑ったドフィの唇の端がわずかにひきつったから、きっと『いい顔』ではないに違いない。自覚はあるのだ。一生懸命顔を引き締めているのだから。
相手の様子を見つめながら、おれはドフィへ向けて口を動かした。
「……なあドフィ、ドフィの仕業でいいのか?」
おれの問いかけは端的で、いつもだったら『要領を得ない問いかけをするな』と怒られるようなものだった。
けれどもおれの言葉にとぼけたりするでもなく、ひきつった笑みを浮かべたままのドフィが返事を紡ぐ。
「……おれに『仕返し』でもしにきたか?」
「まさか」
おれの問いかけを肯定するようなその言葉に、おれは軽く肩を竦めた。
そして、ポケットからひょいと紙束を取り出す。
いろいろな大きさの紙を重ねたそれをドフィへ掲げてみせると、ドフィの眉間にわずかなしわが寄った。
どことなく怪訝そうなその顔を見ながら、もう片方の手でライターを取り出す。
かちりと炎をともし、それをそのまま紙束の端へつけると、ただの紙切れで構成されているそれに炎が燃え移った。
すぐに燃え上がり、焦げ臭い煙をこぼしながらこちらの指まで炎と熱が迫った。
やけどする前にそれを下へ落として、視線を向ける。
炎が上から順に舐めて焦がしていくそれは、おれが少し前まで書いては重ねて箱に貯めてきた『日記』だ。
つい最近の日付から順に焦げていくそれを見下ろすと、もう何年も前に書いた自分の文字が、ほんの少しだけ視界に入った。
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