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異世界トリップ無一文男主人公少々特典あり。 就職先がドフラさん家シリーズへ派生済 金が無く底辺扱いな日々を現代でも過ごした主人公は、戸籍が無いゆえにさらに底辺になるんじゃないかと必死こいて頑張って就職活動。 戸籍が無くても出来るような仕事話を聞きつけては受けて気付いたら職場が無くなって解雇?され、また就職活動を繰り返す生活。 実は毎度怪しい職場で海軍立ち入りやら何やかんやでなくなってるんだけど、毎度末端の裏方が多かったのであんまり気付いてない。 あとベリーという通貨単位に「まるでワンピースじゃないか(笑)」とか思ってた。 ら、本当にワンピースだった。 そう気付いたのはとある日払いの短期間清掃仕事を請け負った先で、何かピンクのモフモフを着込んだでかい人を見たから。 「フフフ! フフフフフ!」って笑ってる若はどう見てもドフラミンゴでした。 つまり雇い主大元がドフラミンゴ。 うわぁ……となった主人公、短期バイトだしこれ終わったら島を出ようそうしよう、と決意。 ちなみに清掃先は動物の小屋みたいなところでした。 明らかにやばい獣が飼われてる雰囲気。食べ散らかしたゴミを片付けるのが仕事です。 檻の向こうの暗がりでグルグル鳴いてる時もある巨大な肉食獣っぽいモフモフした獣は、主人公が檻の近くを掃除してても襲い掛かってきたりはしません。 むしろモフモフで可愛い。 しかし全く見たことの無い形をしています。 キメラ的なものかもしれない。ドフラミンゴならやりかねないと主人公は勝手に思ってる。 ……時々グロい物を見かけるけど誰にも何も言わないよ!とりあえず肉食獣に人間の味を覚えさせるのはやめてあげてよ! さてそんなこんなで掃除をしていたある日、バイトの任期が来ました。今日仕事したら終わりだって。 帰りにベリー貰ったらお別れだよねよし明日船の手配をしよう、なんて思いながらいつもの部屋に入るとあら不思議。入った先に檻から出された動物様がいらっしゃいました。 え、と思ったら扉を閉められて鍵も掛けられた。 まだ床は汚れていない=眼前の肉食獣は食事してない=死亡フラグ。 昨日で逃げときゃ良かった……!となりつつどうしようどうしようと硬直している主人公の前に寄ってきた巨大動物が、主人公にスリスリ。 どうやら主人公は異世界トリップ特典がついていた模様。動物に好かれる体質とか本当にありがたいスキルだった。 少々腹減りな動物がかわいそうだったけれども、有る程度の掃除をして、初めて動物をモフって、可愛い可愛いと愛でて時間を過ごし、しかしここからどうやって出たらいいんだろうかと思っていたら、扉がかちゃり。 どうやら様子を見に来た人がいるらしい。よし逃げよう! 「…………フッフッフ! こいつァ驚いた」 ドの付くフラミンゴだった。うわあああああああ! ダッシュで逃げたくなったけど出入り口はドフラミンゴのところしかなかった。主人公硬直。 動物はすぐさまグルグル唸るけどドフィの不思議能力の前には敵わず檻の向こうへと押し込められました。 主人公は後ろ盾を失い、ああああちょいとまってポチ(仮)!と思ったけどポチが待ってくれるわけもなく、檻に鍵がかかって目の前には三メートルの七武海。 大きな手でがしっと頭を捕まれてもうどうしたらいいのか分からない。 「オ、オーナー?」 「お前、能力者か?」 「ちが、ちがいます! なんかちょっとポチに懐いて貰えただけで!」 「フフフフ! あいつをポチ呼ばわりする奴も、あいつが懐くのも初めて見たぜ。面白ェ」 ドフラミンゴに気に入られてしまった。 本当にもう死亡フラグ。帰りたい。逃げたい。 よし逃げよう。 とりあえずバイトが終わり、明日も来いよと言われたのでうんうんうなずいた主人公は、バイト代を貰ったその足で住まいを引き払いに行きました。 荷物が少ないのは貧乏だったからだけどそれが幸いした。 荷造りを終わらせた深夜、部屋を貸してくれていた大家さんにお礼をいい、いままで貯めてきたベリーをしっかり持って港へ疾走。 出航間近だった客船にどうにか頼み込んで乗せて貰って、いざ逃亡! と思ったら船が海賊船に横付けされて無理やり止められて、さぁ大変。 「……何か見覚えのあるスマイルな感じのジョリーロジャーとか、俺には何も見えてないぜ……!」 主人公は貨物庫に身を隠しました。 誰かの歩いている足音がします。 キィ、と音を響かせて扉が開かれます。 ギシ、と板が軋みます。誰かが入ってきた!と思いつつ、物影で膝を抱えて息を潜めた主人公。暗がりだから大丈夫だろうと思いつつ、顔を膝に埋めてました。 音が何もしません。入ってきた人は出て行ったんだろうか、そう思って顔を上げたら、 「見ィつけた」 すごい笑顔のドフラミンゴさんが上から覗き込んでました。 絶叫するところだった。怖かった。 伸びてきた手により頭を捕まれ、無理やり立ち上がらされ、そのまま小脇に抱えられて拉致られた。 海賊船はその後客船を解放したので、やっぱり海賊様の目的は主人公だった。ジョリーロジャー見たときからうすうす感じてた。主人公はとても悲しい。 小脇に抱えた主人公を自室の絨毯に放ったドフィは、おれが気に入ったもんを逃がすわけがねェだろう、とフフフ笑ってました。知らんわ!と突っ込みたいけど突っ込めなかった。 そのままドフラさんの傍つきにさせられた主人公。清掃アルバイトから大出世だね!高収入だね!全く嬉しくないのはドフラミンゴがニヤニヤフフフ笑いながら動物けしかけてくることが有るからだろうね! 懐いてくる動物には優しく触ったりする主人公が、ドフラミンゴ相手にちょっとビビッてて、それを見下ろしたドフィが若干不機嫌になったりすればいい。 不機嫌なまま凶暴な動物の前に放り出してみたらそれが主人公に懐いちゃって、すり寄る動物に「うわ、……ははっ! くすぐってェって」とか言いながら笑顔を見せる主人公を見てさらに不機嫌になったりするの。 そしてそんなドフラミンゴの怒気を感じ取って「ドフラミンゴ怖ぇえええ」と怯える主人公。とても悪循環。 ちょっと怪我をしたところで助けてやったらおれに懐くかなァと思ったりするドフィの思惑は全く実現できない。 仲良くしたいけど根がいじめっこのドフラミンゴとそんなドフラさんが怖い男子の話……ということだろうか。 「……オーナーの好きなところ? …………モフモフコート?」 「フフフ! 中身に用は無ェってか」 「あの、オーナー、怖いんで怒らないでください。中身なんて俺には勿体無いからいいです」 戻る |