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ザジシル






女は好きじゃない。
わがままで、煩くて、泣き虫で、煩わしい。
そんな特徴を兼ね備えた女が目の前でわんわん泣いている。
あぁ、面倒くせぇ。
久々にタダ飯にありつこうとここに寄ったことを後悔した。




「もうっ、なん、でかな…‥‥もうっ、しらな、いんだからっ…………つ、」




ちわ〜っす、シルベット、夕飯もらえるか?と陽気にここの扉を開けてた瞬間から彼女はこの調子である。俺にはさっぱり泣いている理由がわからなくて苛々した。
かといって、また来るわ、と言って出直せるほど薄っぺらい関係をシルベットと築いた訳でもないから、励ますわけでもなく、この場にいる。
とりあえずテーブルを挟んで向かいの椅子に座っているけれど、彼女は状況を説明してくれない。ラグ達と何かあったのか、兄貴の事なのか、俺が何かしたのか全くわからない。
だから女は面倒なんだ。


「っ、…ひっく」
「おい」
「‥え?」



テーブルに手をついて、泣いていた女の唇を一瞬だけ塞いだ。たったそれだけの事で銀髪の彼女は青い目で何度も瞬きをし、呆けた表情をした。
泣き止んで、呆けて驚いた顔がこちらをずっと見つめている。


「‥キス?」
「あ?」
「キスって好きな人とするものよね?」
「フツーはそうだろうな」
「じゃぁザジは私の事が好きなの?」
「んー…‥嫌いじゃ無いけど?」


嫌いじゃないでなんでキスするのよ!私のファーストキスを返して!!さっきまで泣いていたのが嘘のように喚きだした。
あーあ、面倒くせぇ。



口付けの娯用法
それで君が元通りになるならいいじゃねぇか。
喚く女に夕飯ねぇのかよとぼやいたらラグ達が帰ってくるまで待ってなさいよと睨まれた。


















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