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サンアリ



「解剖、解剖、カイボー!」


今日もヘルズ・キッチンの異室名をもつ研究室付近でその声が響いく。死骸博士ことサンダーランドJr.の口癖は言わずもが知れた、解剖。知ろうとするからか、解剖、カイボウ、叫ぶ。
今日は何をお目当てにそう叫ぶのやら。以前はラグ・シーングやディンゴのニッチとステーキにたいしても叫んでた。あまりに希少価値のステーキについて熱弁していたときは度が過ぎて、カペルマイスターの王子かもしれないと叫んだ。素直なラグは信じてしまったから、大袈裟かもしれないが、なんて呟いていた。
一方的に熱弁してしまうのが彼の悪い癖。そしてまた内容は少々どころかかなりマニアックで、みんな引いてしまうのだ。
サンダーランドJr.という人は純粋に生物に対して興味があって、知りたいがために、解剖をしたいと叫ぶ。
とてもありがたい事をしてくれてはいるのだけれど、本人が奇人な為に回りの目は痛い。
事実、彼の解剖、と叫ぶ声は耳障りだ。


「博士、館内ではお静かに願います」
「あぁ、すまない、つい、素敵なものが手に入ってね」
「‥…誰も人が寄り付かなくなりますよ」
「それでも、解剖をやめるわけにはいかない」
「それが役に立つことでよかったですね」
「そうだな‥そういえば君はまだ解剖させてくれないのかい?音弾について「断固拒否します!!」


ため息をはいてすきび返すと背後から館内はお静かに、じゃなかったのかー?とのんきな声が響く。
解剖、解剖うるさいあなたよりましだと思ってすたすた歩いた。だって知りたいから解剖させてくれ、と言うのだ。
素直に教えてくれ、と言えばいいものを。



不器用な交友関係
カイボー、と叫ぶのは友達になって、と叫んでるよう。
なんて不器用で、
なんて騒がしいのでしょう。

















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