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※ゴシュ←アリ←ロイ


願ってもない奇跡が起きたら人はどうなると思う?
──顔に凄く出るんだ。
そして、周りが見えなくなる。必死にそうなるまいとする姿はとても痛々しいんだ──。






『あの人に会える日が来るなんて』


アリア君はゴーシュが帰ってきてからポロリと口らか漏らす一言はそればかり。彼女の視界にはゴーシュしかないらしい。
正直、顔を濁すしか出来なかった。
だって僕らは何年この館長室で過ごしたんだろうね。少なくとも数年は四六時中一緒で、傷をなめあって来たのにちょっとこの反応は無いんじゃないのかな?
仕事が手につかないなら注意できるも、そういうわけじゃない。心がここにあらずで全てゴーシュに向いていて、でも本人はそうなるまい、と仕事に打ち込む。
うん、いいことなんだけど───僕にとってはそうじゃない。
───辛いことだから。
ま、そういうわけで、役人たちに『愛の巣』発言してみたりしたけれど、残念。手応えは一握り。
やっぱり君の心はゴーシュに向いたままなんだ。
そうだよ、願ってたけど、ゴーシュの帰還は願ってもない奇跡なんだ。願ってもない、ね。
現実を見続けるのは今の僕には酷すぎる。本来なら彼女もシルベットの様にゴーシュの側に置いてやったり、励ましてやったりすべきなんだけれど、それができるほど器が出来てないんでね。
だから。


『旅行にいってきまーす』



暢気な姿でちょいと君の前から姿を消す。
どこかであの人ったら!!とか、あのお気楽屋め!!なんて言ってくれたらしてやったり。
















こっちを向いてお嬢さん

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