main | ナノ



10






木に咲いた花が儚く舞い散る。
それをみて、花びらみたいに消えてなくなればいい。切に思った。








花の木の下に、私服姿のアリアがくるくると回っり、スカートが大きく弧を描く。彼女の可憐さをビーの制服ではなく、私服姿が更に引き出していた。
時々見せるはしゃぐ子供ぽい姿に、僕は何度釘付けになっただろう。そして、何度アカツキに行くことを申し訳なく思っただろう。

くるり、一回転して、僕の方を向いた彼女他愛もなく、は言った。




「天気もよくて、花もきれいね。花見にぴったり!」

「本当ですね。休みが被っていて、よかった」

「ほんとに。ね、この辺りで食べない?」

「僕も言おうと思ってました。シートをひきますね」

「ありがと。お願いするわ。」



他愛もない会話をして、僕らはランチの用意をする。
こんな日常はいつまで続くんだろう。答えは明白で、僕がアカツキに行く日まで。ユウサリを出ていく日まで。
それなら、思い出として封印するか忘れてしまいたい。



木の上に咲いた儚い花がひらひらと舞い散る。
白いサンドイッチの上に桃色の花びらが落ちて、白と桃色のコントラストがアリアの頬を彷彿させる。けれどそれはすぐさま風にのって移動した。
どうせなら僕の気持ちも散ってどこかに移動したらいいのに。消えてくれればいい。
きっとアカツキで今以上の仕事をこなしたら体も心も保たない。壊れてしまう。
それなら、壊れてしまう前に、自分で忘れてしまいたい。



他愛もない日の僕ら
だからこそ、日常が壊れるのが怖いのです。















.

[ 73/116 ]
/soelil/novel/1/?ParentDataID=1


 
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -