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5

かたかた。窓の外の風が小さく窓を鳴かせた。そんな風が吹く外は人工太陽でほんのり色づいている。
一方室内に灯る明かりは蝋燭一本だけ。こちらもほんのり灯る。
ゆらゆらと不安定に明かりは顔を照らし、どこか暖かさを感じさせ、やっと寝付いたシルベットはすーすーと愛らしい寝息をたてはじめていた。
そして、そのベッドの傍ら、冷たいであろう床に膝をつき、腕と頭をベッドにのせてスースー寝息をたてているアリアは僕が掛け布団を取りに行くまでは起きていたのに。
シルベットよく眠ってるね、なんて話していた当人がすやすやと寝てしまってることが可笑しく思えて、小さく笑った。そういえば布団を取りにここを離れる前はとろん、とした表情だったけ。
今はまだ夜は更けてないけれど、アリアを起こして家に連れて帰るのに気が引けて、仕方ない、と抱き上げる。シルベットの眠るベッドはダブル。普段は自分とシルベット二人で寝ているけど、アリアが加わったとて、かわりまい、とのせた。
一枚余分に布団を用意して、最後に自分もベッドに滑り込む。
ほんのり。暖かい。
人肌と眠るのはいいな、と思いながら枕元に置いた揺らめく蝋燭の明かりを消すために手に取った。その時、寝返りをしたアリアの顔が目に入る。草原を思わせる緑は今は閉じられていて、長いまつげが僕を不思議な気持ちにさせた。
ほんのり。
胸がしゅわ、となるきがして、頭を振って、優しく灯る火を揉み消した。


だけど真っ暗になっても、暖かい布団に入ると、僕の胸の鼓動が早くなった。傍にいるのはシルベットで、胸を不思議な感じにするアリアとは離れてるのに。
ほんのり不思議な気持ちが湧いてで、アリア・リンク、と名前を空気に転がす。すると暗闇から彼女の、んーぅ‥、と寝言が響いた。
それにまた一段と鼓動がスピードアップするものだから、ぎゅっと目を閉じてもまぶたの裏から離れない寝顔見つめて、僕も大きなベッドの上で眠った。

かたかたかた。
外の風は止まらず、僕の不思議な気持ちもほんのり積もっていった。



























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