Short Novel | ナノ


▼ !!! NIGHTMARE OF HALLOWEEN !!! 

第一章 HAPPY HALLOWEEN !!

 おれは夢を見ていたんだ。胃のもたれそうな夢。
 しかも甘ったるい夢じゃなくて、冷えてたるたるの肉汁が詰まっていそうな夢。
 ようするに、眠りながら吐きそうな気がしていたんだ。そういう日は、きまって悪いことが起こる。
 だって、そうだろ。実際に、俺の胃ぶくろの上には、吐きそうな要因がこれでもかというほど詰まって乗っていたんだから。

「坊ちゃん、坊ちゃん! 起きてくださいな!」

 朝ってやつは、どうしてこうもダルいんだろう。体は動かないし、脳みそは半分夢の中だし、うんざりするぐらいつまらない現実と、うんざりするぐらい甘ったるい夢との区別が、時々つかなくなったりする。
 その日ももちろん例外じゃなかった。金切り声の女中の悲鳴がしても、頭からゾンビの墓場に埋められた夢と、曇り空の現実との区別が、なかなかつけられなかった。
「坊ちゃん、お客さまがいらっしゃってますよ。ほら、起きてくださいな! もう朝食の時間はとっくに過ぎていますよ!」
 わかった。とりあえず、おれは悪夢のゾンビ軍団から逃げ切れたんだな。
 だけど、昨日は偏屈オヤジの連れで遅くまで会合に駆り出されていたんだから、少しは勘弁してくれよ。
 それに今日は天気があまりよくないじゃないか。おれはまだ朝飯前だと思っておく。
「メイドさん、お客さまじゃなくって、お友達が来たって言ってよ。親友でも言いすぎじゃないと思うんだけどな〜」
 今度は金切り声じゃない、誰か別の声がした。くちびるをニワトリみたいに尖らしたような声で、のんきなその声を聞くと、息苦しい感じがした。
 金切り声の女中が、困り笑いをするのが聞こえる。もう少ししとやかに笑えないもんだろうか。目覚まし時計が鐘を叩く音がする。
「うる……っせぇな」
 口の中でもごもごと声を出し、寝返りを打とうとした。しかし、息が詰まって動けない。
「あっ! ねぇねぇ今の聞いた!? お坊ちゃんが「うるせぇ」って言ったよ! 誰かー! 誰かー! 今の録音してない!? 起きてる間に聞かせてやりたいよね!」
 おれの胃袋が暴れてる。
 ぎゃあぎゃあ騒ぎながら揺さぶられたら、そりゃあ、頭にくる。おれは唸りながら、貼りつくまぶたをしぶしぶ持ち上げた。
 ぼやけた世界に、緑の目、黒い目。それから、今寝て起きたみたいな、もじゃもじゃの茶髪に、でかいネジが刺さってる。
 まん丸の目ん玉が、おれを覗き込む。
 深刻な胃もたれが、実態を持ってそこにいた。

「おはよ。ハッピーハロウィーン!」

 悲鳴がこだました。



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