000「うわぁぁああっ! 悪魔だぁあっ!!」
かん高い叫び声と共に、目の前が赤く染まる。
「迎え撃て! 怯むんじゃない!」
「“ゼルダ”だ! 並の公司なんかじゃないぞ!!」
無数の男たちがどこからともなく現れ、物騒な武器を手に、大きな円を作る。
誰もが飛び込むのをためらい、一定の距離を保つその中心には、ひょろりとした青年がひとり、立っていた。
清潔感のある白いシャツに、たった今浴びたばかりの赤い染みが、じわじわと残酷に広がっていく。
深緑色の瞳孔のない目が、じっとその場に居る人々を見回した。
鍛え抜かれた厳つい体を持った大人たちは、華奢な若者に銃を向け、ただ固唾を呑んで見つめている。
青年を睨みつける人々の目つきは強い憎しみに燃え、しかしその瞳は華奢な青年を前に、完全に怯えきっていた。
雨上がりのような澄んだ空気が張り詰める中、青年はゆっくりと体を揺らし、その虚ろな目を赤く染めていく。
青年は細い指で頬を伝う水滴を撫で、そして一言呟いた。
「すみません、死んでください」
Artificial children
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