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 ――一目の前が、真っ白になった。
 しかしすぐに、ゆっくり、ゆっくりと、白い光が止んでいく。
 その光に照らされ、人だかりの前に立つ、セイと、アンドリューの姿が映った。
 おそらく、あちらもぼくの姿を見ているのだろう。目が合った途端、セイがこちらへ駆け出そうとした。
 光が止んでいく。そして、二人の姿が、消えた。
「アラン!!」
 ふっ、と光が消えた瞬間、セイの声と共に、爆発に似た衝撃と、強い横揺れが地下世界を襲った。
 途端に、いくつもの悲鳴があがった。パニック状態で逃げ惑う人の気配を感じる。
 呻くような地響き響かせ、地下世界が大きく揺れている。
「まずい! 間際に力が放出されたんだ!! 崩れるぞ!!」
 轟く地響きと雨音の中で、アンドリューがそう叫んだ。
 崩れる……崩れたら……みんな……みんな死ぬ……!
「おい! アラン! アラン!! どこに居んだよ!!」
 セイの声がまたぼくを呼びかけた。セイの不思議な感覚を持ってしても、今の状況ではぼくを見つけられないらしい。
 体の下が大きく揺れ、ぼくを動かしているのがわかる。
 しかし、ぼくの体はぴくりとも動いてくれなかった。どうして……どうしてこんな時に……!
 聞きなれた人々の声が、悲鳴によってぼくの耳に届く。
 重い地響きの中で、助けてと、嫌だと、そう、逃げ惑う人の姿が……――
 何を……何をやっているんだ……! ぼくは何を……やっているんだ……――!!
 ぼくはぎゅっとこぶしを握り、そして、精一杯の力をその腕へ込めた。
 体が軋む。辺りが揺れる。
 ぼくは片手に力を入れ、そして、体を起こした。
 体内が崩れる。雨が、降り続く。
 ぼくは雨の打ちつける地面を見つめ、そして、再びこぶしを強く握った。
 強い横揺れを体に受けながら、ぼくは歯を食いしばり、顔を仰向けにさせた。
 すでに、地下世界の天井が崩れてきている。瓦礫がぼくの周りに落ち、そして人々の周りへも落ちてきた。
 まも……るんだ……死なせは……しない……!
 ぼくは逃げ惑う気配のほうを向き、そして徐々に瞳を赤く染めた。
 頭や家族を守ろうとしながら、人々が赤い世界で闇の街を行き交う。
 何人かのミュータントがアンドリューと共に、人々の頭上を守っていた。
 しかし、それもすべてが崩れてしまったら……
 ぼくは再び、崩れてくる頭上を見上げた。
 落ちてくる瓦礫が徐々に大きくなり、少しずつ、でも確実に、地下世界が崩れていく。



 ぼくが……



 ぼくが……守らなきゃ……みんなを……仲間を……守らなきゃ……!



 守るんだ……ぼくが守るんだ……! みんなを!!





「うわああああああああ――――っ!!!!」






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