※サイケも津軽もPC内のボカロ的なあれです。





「サイケ、お疲れ様。」

「ううん。今日の曲もおれ、だいすきだよ!」

「そう?…ふふ、ありがとう。」

「なんかマスター、しあ わ、せ?っぽいね!」

はじめ、なんにも歌えなかったおれにたくさんのことを教えてくれた、マスター。
やさしくてきれいで、頭がいい!
それと、なんかさいきん、ほにゃって笑うようになった気がする。

「なかなか鋭いね、サイケ。」

「す、る、どい?」

「ううん、なんでもない。マスターはね、サイケが言ったように、今、幸せだよ。」

「しあわせ!、サイケもしあわせ、だよ!」

マスターがしあわせなら、もちろんおれもしあわせ!

「そっか。だったら俺はもっと幸せにならないと。」

くすくす、ふたりで笑いあっていると、ブゥーン…って音がうしろからきこえた。

「あ、彼が来たみたいだよ、サイケ。」

「!、マスター、いってもいい?」

「いってらっしゃい。」

「いってきまぁす!」

元気にいってきますをして、すぐに走りだしたおれにはマスターが、早く津軽と想いが通じるといいね、なんて言ってたことはぜんぜん知らなかった。


マスターが言う『彼』は、マスターの大事なひとにそっくりで、そのひとのパソコンで歌をうたってる、おれのだいすきなひと。
すごく、すっごく、かっこいいひと。
見た目も、声も、中身も、ぜんぶ、かっこいい!

「つがる!」

早く見つけてほしくて大きな声で呼んだら、やさしく笑って片手をあげてへんじをくれた。

お互いにいそがしくて、さいきんは、なかなか会えなかったんだ。
だから、おれみたいなソフトにしたらおかしいのかもしれないけど、顔があかくなって、胸がぎゅうってなるくらい、つがるに会えるのがうれしくてたまらないよ!

そのままの気持ちをつたえたくて、こっちに歩いてきたつがるに思いっきり抱きついた。
ぽすっ、って抱きとめてくれたつがるからは、つがるのいいにおいがする。

「今、大丈夫だったか?」

「うん!大丈夫だよ!久しぶりだね、つがる!」

「そうだな。元気にしてたか?」

「もちろんっ!マスターのつくった歌、いっぱい録音してるよ!」

「そうか。」

つがるがそっと髪の毛をなでてくれて、なんか胸がちぢむみたいにまた痛くなって、むずむずするけど、エラー音は頭にひびかないのは、なんで?

すきだけど、マスターへのすきとはちょっとちがう、つがるへの、すき。
この気持ちもまだ、よくわからない。
ただ、すき。

「ねぇつがる。」

「ん?」

そうだ!
もしかしたらこの気持ちを、つがるなら知ってるかもしれない!

「すき、はすきなんだけどね、胸がぎゅーって苦しくなったり、抱きしめてほしいなーって思ったり、さわりたいとか、ずっといっしょにいたいなーっていうのはどんなすきか、知ってる?
やっぱりエラーなの…?」

手をぶんぶん使っていっしょうけんめい説明すると、つがるがすごいコワイかおをして、おれの肩をつかんだ。

なんでも知ってるつがるがこんな顔するってことは…やっぱり、どこかおかしいんだ、おれ…!

どうしよう、つがるに会えなくなっちゃうよ…!とか思ったらなみだが出てきて、目のまえにある青と白のはおりがうまく見えない。

「サイケ、それ…、いや、そんな風に想う相手がいるのか?」

「…え、?」

「だから、サイケは、そういう気持ちを誰かに持ってるんだろ?」

てっきり、つがるからエラーだと言われると思ってたら、全くちがう答えがかえってきた。

エラーじゃない、ってことなのかな…
でも、だったらなんでこんなにつがる、コワイ顔してるんだろう…

「うん…?いるよ?でもこれ、エラーじゃないの?」

「エラーじゃないから、大丈夫だ。」

「ほんとっ!?」

「ああ。」

「よかった!つがると、はなれないで済むんだね!」

「…俺?」

つがるはおどろいたみたいな顔になってるけど、おれはエラーじゃないって分かったことがすごーくうれしくて、さっき会ったときと同じように抱きつく。

「つがる、すき!」

「!」

つがるはちょっとよろめいたけど、また大きなからだでおれを受けとめた。

「おれ、はじめてここで目がさめたときね、こわかったんだ。まっ白でなんにもなくて。
もちろん、臨也さんがすぐに、はなしかけてくれたけどね?」

「、」

「でも歌おしえてくれたり、いろんなことしてくれたあと、ばいばいするでしょ。そうしたらまたこわくて…まっ白な世界に、おれ、ひとりで溶けちゃいそうで。」

「…」

「ひとりで悲しくて、うずくまってたら、つがるが見つけてくれたんだ!」

金色のかみと、海みたいな青色のひとみ。
青と白のはおりが、すごく似合ってて。

「あの時…だからサイケ、泣きそうな顔してたのか。」

「それから、この世界にいれば、つがるといっしょにいられる!って思って、頑張れるんだよ!

だからね、」

きっと、つがるを知ったときから、ずっとずっと、


「おれ、つがるのこと、だいすきだよ!」





世界
きみ




「つがる、だいじょうぶ!?顔、まっ赤!」

「……大丈夫。いいか、サイケ、そうやって、誰にでも笑いかけるのは絶対に駄目だからな。」

「?、わかった!」






--------------------

はつ恋(ツガサイ)企画様へ提出させていただきました。


当サイトへはこちらからどうぞ。




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -