ろんりーがーる (阿部) | ナノ

□ろんりーがーる



隆也が帰ってきて、夏休み
もあと5日。約束していた
夏休みの宿題を一緒にやろ
うと近くの図書館で待ち合
わせている。着いたらすで
に隆也が教科書とノートを
広げて睨めっこしていた。


「おはよ早いね!」
「おう、宿題終わらねえかもだしな」
「頑張って今日終わらせる勢いでやろう」


気合いを入れ直すと隆也は
再びノートに目線を落とす
。その姿を見て私もノート
を広げた。


「・・・」
「・・・」


宿題も一段落したところで
隆也がシャーペンを置いて
息をついた。顔を上げると
真剣な表情をしている隆也
を見つめた。


「俺さ、高校卒業したら」
「うん」
「アメリカに行こうと思ってる。」
「え?」


いきなりで驚いたけど、
何となくそんな気がしてた
合宿が終わってからずっと
隆也は、何かを考えていたし


「もっと、野球したいんだ」
「隆也らしいね」


そっか、高校までしか
隆也といられないんだ
そしたら私はまた独り、か


「多分早くて3年、遅くて
5年」
「そっか、」


それくらい覚悟していた
つもりだけど、改めて隆也
の口から聞くと重みという
か長さを実感する。長いな
あ。


「それでもっ」
「うん」
「それでも、お前は待って
てくれるか?」


その言葉に私はすぐに頷いた
どんなに独りで待ったって
いい。私には隆也じゃないと
だめなんだ。


「ありがとな」


珍しく照れ笑う隆也に
私は目を見開いた。
寂しいけど、会えない分
会った時の幸せが違う。
とりあえず現在、隆也と
たくさんの思い出を作ろう



ろんりーがーる


20110612.

完結



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