ろんりーがーる (阿部) | ナノ

□好きだ


隆也の家に行ってから早3日
が経った。この時期になると
朝練がもの凄く早いし、ハー
ドみたいで私が登校する時に
グラウンドを通るとみんなは
へとへとだ。

遠くで隆也がグラウンドに
寝転がって、汗を拭ってい
た。話かけようと思ったけ
れどやっぱりやめた。きっ
と疲れているだろうし。寂
しい気持ちを押し殺して、
教室へと向かった。

席に着くと友達が声をかけ
てくる
いつも授業が始まるまで
友達と喋ったり、窓の外
を見たりして時間を潰して
いる。教室に野球部が数人
入って来たことを確認する
もちろんその中に隆也もい
る。


「おはよ。」
「隆也お疲れさま」
「ん。」


頭をぽんと撫でられ
斜め前の席に座ると
そのまま机に突っ伏した
やっぱり疲れてるんだ


「・・・」


今日の授業、何を
やっていたのかさっ
ぱり分からない。
ずっと上の空だった
お昼も食べたか定か
じゃない。


「・・・い」
「おいっ!」
「えっ」
「大丈夫か」
「うん。で、何だっけ」


気づいたら心配そうな
隆也の顔があった。何
かを話していたみたい
で、聞き返しても私の
心配ばかりだった


「体調悪いなら帰れ。送ってくから。」
「そういうんじゃないの」
「じゃー、どういうんだ?」


不安なんだなんてそんな
こと言える訳がない。隆也
を困らせてしまう。
そう思って思い切り抱き着いた

「おわっ」
「じゅーでん完了!」


顔を上げると隆也に
ひでー顔と頬をつまま
れた。


「無理すんなって言ったろ」
「・・・」


隆也の顔が近づいたと
思ったら、耳元で囁か
れた。隆也の低音声が
くすぐったい。


「好きだ」
「!」


不安だったんだろと
笑われた。隆也には
何でもお見通しなん
だねと笑ったら、涙
がこぼれた。



好きだ


20110522.

title:確かに恋だった



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