ろんりーがーる (阿部) | ナノ
□番外編5 どうしよもねえ
『っわ!』
顔を真っ赤にして俺の目の前で
盛大にコケたコイツを見てなんだか
とてつもなく可愛くて仕方がなかった。
『へへへ、・・・』
『っぷ。ドジだな』
俺は笑いながらコイツをそっと起こして
やったけど、実は心臓が破裂しそうなく
らいドキドキしていた。もちろんコイツ
は知らねえ。
さっきは、すげえクマって言って無意識
に触れていたコイツの肌は柔らかくて、
男と全然違くて凄くなにかを掻き立てら
れて、慌てて手えひっこめたけど嫌われ
たりしてねーよな。
そんなことをぐるぐると考えて俺の脳みそ
はコイツのことでいっぱいになっていたり
する。
なんなんだ、本当。
最近、俺おかしくねーか?
起き上がらせてそのまま手を握った
ままなことに気づかぬまま、空いている
片方の手でこのうるさい心臓を抑えつけた。
あとで、花井に聞こう。
『あ、あの阿部くん・・・』
『・・・え?』
『その、起こしてくれてありがとう』
『おう』
控えめに言うコイツに疑問もつと今度は
俯いてあの、その、手が・・・。その言
葉に俺ははっとしてまた慌てて握ってい
た手を離した。
『わ、わりー。』
握っていた手が熱い。
どうしようか、この熱は
20120616.
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