ろんりーがーる (阿部) | ナノ

□番外編4 好きが加速する



ただの練習試合。そう思って
いたのに私にはトクベツで、
野球部の試合の余韻も覚めぬ
ままベッドへ潜り込む。枕の
隣に放ってあった携帯を見る
と阿部くんからのメールに飛
び起きた。ひんやりと身体が
冷たくなるのも気にせずに何
度もその文章を読み返して、
嬉しくなる。


『今日はありがとう。よかっ
たらまた試合見に来いよ。』


短いけれど、どこかマメな阿部
くんのメールに笑みがこぼれた。


『もちろん、行く。』


今日の阿部くんかっこよかった
と打っては消す。なに、やって
んだ私。一気に上がった体温。
そのせいでお風呂上り以上に頬
が熱い。


『送信っ!』


メールは勢いで送らないと送れ
ない私は目を閉じて携帯を真上
にあげて送信ボタンを押した。

その後、今日のことを思い出し
ながら阿部くんとのメールのや
りとりが続いて阿部くんから、
遅くまで付き合わせて悪かった
学校でもまた話そうぜ、おやす
み。そんな返事だけで私は胸が
いっぱいになりしばらくは眠り
につけなかった。



『はよ。・・・ってすげークマ』
『お、おはよ昨日遅かったからね』
『わりーな。俺のせいで』


すまなそうに謝る阿部くんは手
を伸ばして私の頬に触れ、目の
下のクマを触る。大きくて温か
い手にどきっとして目を逸らす
と阿部くんはぱっと手を離した


『急にごめん!・・・何やってんだ、俺』
『い、いや。じゃ、じゃあご心配ありがとっわ!』


あまりの恥ずかしさに阿部くん
の顔が見れなくなり無理矢理そ
の場から逃げ出そうとしたら思
いっきり阿部くんの前で盛大に
コケしまう。


『へへへ、・・・』
『っぷ。ドジだな』


阿部くんは笑いながら私に
手を差し出して私がその手
をとるとそっと起き上がら
せてくれた。

私がこんなにどきどきして
いることも知らないで。阿
部くんは私のことどう思っ
ているのかとか優しくして
くれるのは私だけとか色々
なことが脳内にぐるぐると
巡り気持ちを伝えたくなっ
てしまう。


試合の時の阿部くんが頭か
ら離れないの


20120210.




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