二人が付き合い始めて
どれくらい経ったかも
よく分からなくなった
頃。俺のアイツへの気
持ちも段々抑えられる
ようになってきてよう
やく落ち着いたかと思
っていたのに、いつも
ラブラブの二人は珍し
く登校が別々だった。


「はよ、お前ら登校別々とか珍しいなー」
「え!あ、うんまあね」
「そーそー!たまにはな!」


浜田が今まさに俺が思って
いたことを二人に聞くとお
互いなんだかギクシャクし
ているように見えた。


「あ、泉おはよう」
「おはよ。お前、田島となんかあっただろ?」
「え!?いや、なにも・・・」
「わかりやすっ」


何もない訳がない。あからさ
まにケンカしましたとその顔
に書いてんじゃねーか。田島
に気づかれないようにコイツ
の手を引いて教室を出ると屋
上に来る。


「で?ケンカの原因は」
「なんでケンカって・・・」
「はあ、見てりゃわかるよ」


俺がデカイため息をつくとコイ
ツは顔を真っ赤にして今にも泣
きそうだった。


「悠の犬とばかり遊んでたら怒っちゃって」
「・・・あ、そ」


くだんねー。と言おうとしてや
めた。心配して損したぜ。


「でも、まあ、仲直りさせてやるよ」
「ほんと・・・?ありがとう!」


嬉しいと泣き笑ったコイツを見て
好きという感情がぶり返しそうに
なった。俺は、コイツに仲直りの
作戦を教えたあと田島を呼び出し
例の作戦を実行する。


「泉ーなんだよ話・・・!!」


田島が来るのを見計らってコイツ
を抱きしめると思い通り田島が俺
に飛びかかってきた。


「泉!なに、してんだよ」
「なにってどっかのそばかす野郎がコイツを泣かしたんでな」
「・・・っ!」


田島は俺の胸倉を掴み拳を
向けていたがその言葉に腕
を下す。


「お前、しょーもねーことでコイツ泣かせてんじゃねーよ」
「・・・」
「これからは俺がコイツを笑顔にしてやるよ」
「!」


ずっと下を向いてろと言っておいた
コイツが泉やりすぎだよと小さな声
で言うのを無視し田島の反応を待つ。


「コイツは泉じゃだめなんだよ!」
「・・・」
「つか、俺がコイツじゃないとだめなんだ!」


田島がやっと敵意むき出しの目を俺に
向けると俺はコイツの背中を押して田島
の胸に飛び込ませた。


「悠、ごめんね。」
「俺もごめん。ほんっとガキだよな」


抱きしめ合う二人を見て少し
というかかなり羨ましくなって
その場にどうしてもいたくなく
て屋上からそっと出て行こうと
する。


「泉!ありがとう」


アイツの声が屋上に響く。
俺は振り向きもしないで屋上を
後にして手に残るアイツを抱き
しめていた感覚を思い出した。

確かにこの腕の中にいたんだよな。



仲直りのキューピッド


20120210.


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