どれくらい泣いていた
のだろう。近くで人の
気配がしたので急いで
涙を拭いてそっと教室
に戻ると巣山がいた


「どしたのお前」
「ん?何が」


うっすと言いかけた巣山
が私の顔を見ると少し驚
いたように声をあげる
私がとぼけると巣山はそれ
以上聞いては来なかった

しばらく黙ったままで
巣山も私も話そうとは
しなかった
そろそろ帰ろうと仕度を
始めると背を向けたまま
巣山はあのさと話し始めた


「栄口のこと誤解してんじゃない?」
「・・・え?」


栄口その名前を聞いた
だけで胸が締め付けられる
巣山の誤解してるが頭から
離れなくなった。私はいっ
たい栄口の何に誤解してる
っていうの。また栄口のこ
とで悩まされなきゃいけな
いのと涙が出そうになった


「あいつな、お前のこと」
「聞きたくない」


巣山の次の言葉が聞きたく
なくて急いでかばんをもっ
て去ろうとした。けれど
巣山の次の言葉に立止まった


「好きだったんだよ」
「!」


頭が真っ白になった
何も考えられなくて
出てくるのは涙と栄口
のあの表情だけ。
私、とんでもなく栄口
を傷つけてしまったん
だと唇を噛んだ


「今からでも遅く・・・」
「ダメなの。どんな顔していいのか分からないの」


それに栄口への想いも
さっき私の中で塞いで
しまった。もう好きで
いるのやめようと。
巣山が近づいてきて
私の頭を優しく撫でて
くれる


「私ね、栄口のこと好きだったよ」



それは本人には伝える
ことなく長い恋が終わった



片恋


20110411.


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -