栄口と保健室を出て
教室でお昼をする
窓際の席の私のところ
に来て一緒に食べる

窓の外を見ると
あの子がいた
それだけでちくりと
痛む胸を抑えた
目線を栄口に向けると
さっきの私と同じところ
に目を向けていた
とても優しくて大切な
ものを見るような目だった

そんな顔私にもしてよ
こんな近くにいるのに
長く一緒にいたの私な
のに好きになった子は
私じゃなくあの子なん

お昼ご飯を食べていた
のにお腹もすいていた
はずなのに喉を通らな

ぽたりと机に落ち濡らし
たのは溢れ出でたの大粒
の涙だった。私、限界だ
ったんだ。止まらない涙
栄口が目線をこちらへ向
ける前に泣き止まないと


「どした?」


気づかれてしまった
栄口の顔が驚いている
慌てて涙を拭き俯く


「ちょっと来て」


掴まれた手を引っ張
って連れて来られた
のは屋上だった
風がまだ少し冷たかった
掴まれている手が熱を持つ
そのまま引っ張られて栄
口の腕におさまった


「泣くほど辛いなら吐いちゃえよ」
「・・・」
「俺に言えないこと?」


好きだよ。言いたい
でも叶わないって分
かっていて告白なんて
フラれてまた傷を負う
なんて私はそれの方が
もっと辛いよ

更に溢れ出す涙
そんな顔を見ら
れたくなくて手で
顔を覆った
その手を栄口がそっと
握って私の名前を呼んだ



名前を呼ばないで


20110408.

title:確かに恋だった


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