保健室にいる私たち
さっきまで寝ていた
栄口を起こしてしま
ったせいで、何も聞
かれずに出してはく
れないことを覚悟する

熱がないかと額におかれ
た手はいつの間にか離れ
ていて、気がついたら栄
口が私の顔を除きこんで
真剣な顔をする


「俺、何かあったら言って
って言ったよな?」
「うん」
「言ってよ」
「ないもん」
「いや、あるよ」


栄口の表情から
何を今考えいるのかは
私には読み取れなかった
ただ分かったのは私のこと
を心配してくれている
でもそれは恋愛感情ではな
く友達として


「・・・」
「心配なんだ」


柔らかく笑う栄口に
胸がちくりと痛んだ
言うまで目を離さない
からなと言い張ってる
けれど、原因があなた
なんです。なんて言えない
好きですって言っているこ
とと一緒

なんて言って切り抜けようか
考えていると栄口の視線が
私に向いていることに気が
ついた目が合い離せなくなる
この栄口に弱いんだな私
でも今は見つめられると
つらい自分がいる。私を見て
いる目は友達としてだから


「ごめん・・・」
「お前が話たくなったらでいいよ」


にこりと笑う栄口は
私に近づいて頭を
優しく撫でる。そん
な目で見つめないで
よと俯いた



見つめないで


20110406.

title:確かに恋だった


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