さっきのやっぱり
見なきゃ良かったと
後悔をした。栄口の
あんな表情他の誰か
に向けたあの表情を
見たくはなかった
それが想像以上に
辛くて息が詰まり
そうだった。
授業どころじゃなかった
心が曇り、雨が降っていて
何も手につかない状態。
だから授業の途中で保健室
にきた。ここに来れば少し
だけ落ち着けると思ったから
寝返りを打つとベッドが
ギシっと軋んだ
そっと息を吐いて目を閉じた
目を開けると白い天井が
最初に目に入った
うっすら開けた重たい目を
開けようと擦り横を向くと
栄口が間近で眠っていた
手が私の頭まで伸びていて
少しだけ触れていた
頭を撫でていてくれた
んだと分かった
「んー、」
栄口を起こさないように
起き上がったつもりだった
栄口を見たら笑顔でこちら
を見ていた
「ごめん、起こしちゃった?」
「いや、」
まだ眠たそうに
ふにゃと笑って
栄口の手が私の
おでこを触る
「熱はないみたいだな」
「う、ん」
触れていた手が
離れそのまま頭を
優しく撫でる
そんな栄口にどきどき
しながら目を見ると
あの子の時と私を見て
いる時と違う目だと気づ
いて嬉しかったのに、
悲しくなったまた胸が
苦しくなった
触れていたところが
いつまでも熱をもっていた
栄口に好きな人がいる
なんて知らなければこ
んなに胸が苦しくなら
なくてすんだのかな
触れないで
20110402.
title:確かに恋だった様