中学から一緒の栄口は
高校も一緒でクラスまで
もが一緒になった。
席は離れてしまったけれど
口実を作っては話かけたり
していた。私は、中学の時
から栄口が好き。それに気
づいたのは中2の夏。栄口
と仲良くなり、初めて野球
を見に行った時だった。
野球してる栄口が普段と
違って凄くキラキラしてい
たんだ。初めて見る栄口の
姿、表情に心臓がうるさか
ったのを覚えている


「・・・」
「おーい、」


今も、もちろん栄口を
前にするととんでもなく
心臓がうるさくなる
そうこんな風に・・・と
我にかえると目の前に心配
そうに私のことを見ている
栄口がいた


「わっ、」
「さっきから呼んでるのに」
「ごめんごめんっ」
「何、考え事?」


曖昧に頷いた
考え事は考え事だけど
まさかあなたの事です
なんて、とてもじゃない
けど本人に言えない


「なんかあったら言えよなー」
「うん」
「何時でも聞くから」
「ありがと!」


にこりと栄口スマイルが
放たれる。この笑顔に弱い
んだ直視できない。控え目
に栄口を見上げねえ、栄口
さあ・・・と言おうとする
のをやめた


「・・・」
「・・・」

栄口の視線はいつの間に
か私じゃなくて違う人を
見ていた。最近ずっとこ
うなんだ。その視線を辿
っていくと、大人しめで
綺麗なあの子がいた

私の心臓がざわつく
私の方がもっと栄口
を知っていて好きな
ったのも先なのに
違う人を見ているんだね


「どした?大丈夫か」
「うん、」
「やっぱ今聞くよ」
「いいってば、栄口
は席戻って」


笑うのが精一杯だった
栄口が席に戻るのを見送
った後、私は額を抑えた
こんなに苦しいなんて
思ってもみなかった

栄口の優しさが今は
辛く感じてしまうのだった



優しくしないで


20110401.

title:確かに恋だった

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