青空に走る一つのライン。
それを見る度に掴もうとする―。
彼女の名前はちう。
俺の好きな、大好きな奴だ。
「こうちゃん、お兄ちゃんがね、ちうは嫁にださんとかいうの」
泉「寂しいんじゃねぇのか?」
ちうが炭酸水を口に運ぶと、ぱちぱちしすぎといって、噎せ始めた。
新商品の炭酸水は、どれくらいぱちぱちするんだ?と聞くと。
「あげ、る」
顔を紅くして、ちうは俺に炭酸水をくれた。
泉「さんきゅ」
炭酸水を、口に運ぶ。さっきと同じ動作。そんで、同じ様に噎せたー。
「こうちゃん、大丈夫?」
泉「だっ、大丈夫ん、な訳あるか」
咳をする俺の背中を優しく、とんとんと叩くちう。
「これ、もう買わない」
泉「俺も」
「こうちゃん、もう休み時間おわるね」
泉「うわ、本当だ」
じゃあ、また家で。
うん、また家で。
そう言いあって、授業に戻った。
「こうちゃん、今日はどこ行くの?」
授業が終わって大学の帰り道。ちうは俺の服の裾を握り、どこいくのって連呼する。
泉「お前の好きなとこ」
「え?」
夏の熱い風に、ちうの長い髪の毛が揺れた。
泉「今日は、お前の好きなモノが見える日だよ」
夏の夜空を彩る、大きな大きなアレが見える日だ。
「もう、そんな日だっけ〜じゃあ家にアレ取りにいかないと!」
ちうは、やけにテンションが上がってる。アレの存在をこいつは、忘れていた様だ。
泉「じゃあ、河川敷きで待ってる」
「一緒に帰ろうよ」
ぐすんと、効果音を立てて座り込むちうにー。
泉「」
「あっ、そうだった…にひひ、じゃあ後でね〜」
俺が、耳元で呟くと、ちうが笑った。にひひと笑うのは、機嫌が直った証拠。
ぴゅ〜って、空に一つのラインが走ってドーンって花が咲き乱れる。
秘密の場所で、見る花火。
「こうちゃん、見て!綺麗っ」
横で騒ぐちうは、可愛い。
実家にあった浴衣を来てきたらしい。
カタコト鳴らす下駄の音。
泉「なぁ、ちう」
「ん、なぁに?」
振り向きざまに、優しくキスをした。甘い唇を奪ってやった。
泉「明日、お前んち行くから」
「ふへっ…」
結婚すると決めるまで、ちうの家には行かないと決めていた。
でも、もう決めた、
泉「ちうは俺のもん」
「じゃあ、ちゃんとスーツを着てね」
ドーンって花火がうち上がる。
それと同時にまた唇を重ねた。
あとがき
ちうさまへの相互記念です
泉甘い夢←
夏の感じを出したくて花火、を←
そんで大学生での話です←
宮地イラストはもう少しまってくださいまし←