おでん


12月に入り一気に
寒くなった震えながらも
野球部のいるグラウンドへ向かう
もちろん目当ては勇人

入学して家が近いことが分かりそれから
仲良くなり登下校を一緒にしている

そして勇人が野球部に所属していることを
知ってから毎日練習を除きにきている


「あ、今日寒いから教室で
待ってればよかったのに」


わたしを見つけた勇人が
小走りで来てふわっと笑った


「だって、つまんないじゃん」
「まあね、でも風邪引くなよ」

それだけを言うと戻って行く勇人
ああ、なんて優しいのと外は寒いけど
心はなんだかほっこりとした
気持ちで後ろ姿を見つめる

部活が終わると勇人がすぐさま出てくる


「ごめんな、待たせて」
「ううん」
「コンビニ寄っていい?」


大きなかばんを自転車に
乗せながらそういった


「いいよ。勇人お腹すいたの?」
「まあね」


そりゃそうか、今まで運動
してたもんねお腹はすくよね


「じゃ、買ってくるね」
「うん」


自転車を止めてコンビニに
入っていく姿を見つめていると
ドア付近におでん70円の
ポスターを見つける

しまった・・・おでんはやばい
学校帰りのおでんは堪らなく
美味なんだよねえとお財布と
睨めっこする・・・我慢だ
もう一度ポスターを見つめると、
ぐーとお腹が鳴った


「お待たせ」


コンビニから出てきた勇人が
両手に持っていたのは
わたしが食べようか悩んでいたおでん!

でもなんで二個?と首を傾げると
片方のおでんが目の前に差し出された


「今日、寒いのに見てて
くれたから冷えただろ」
「ありがとう!」


受け取ると二人でおでんを食べた
今度は体も心もぽかぽかになった



おでん


(喜んでくれたみたいで)
(よかったー!)

20101206.











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