じわりと汗が出ては
頬をつたう。それを
拭うことなく私は、
目の前の高校野球に
集中している。いつ
の間にか暑さも忘れ
て野球の熱さにやら
れていた。
去年は西浦高校は野球
部なかったもんね。
初めて見る西浦の野球部
はみんな一年で可愛い。
だって、みんなまだ身体が
出来上がっていないから。
二年後のあの人達がどんな
成長するか楽しみだなと笑
った。
灼熱する試合に私も黙って
見ていられなくて応援に参加
する。もちろんそれは西浦で
私が叫ぶと四番の人と目が
一瞬合った。
「応援どもっ!」
「が、がんばって下さい!」
脱帽して一礼するとその
人は、ニシシと笑って私
に背を向けた。そんな無
邪気な表情もするんだと
どきどきしてしまった。
背番号5番の田島くん、か
彼の姿を目にしてから私は
身体中の体温があがった。
でも妙な熱さが私を困惑さ
せた。何だろう、不思議な
気持ち。
どうしようか、この熱さ
(この熱さの名前を)
(私はまだ知らない)
20110703.
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