おお振り(短編) | ナノ








あの熱い夏の終わり、汚れたユニフォーム
姿で私に駆け寄ってきて俺と付き合ってください。
と言ったときの阿部はとてもかっこよかった。

今でも思い出すとどきどきする。


「なに、にやけてんだよ?」
「べつににやけてませんよー!」
「頬がゆるゆるだバーカ」


何考えてたんだと阿部が私の頬を
強くつままれた


「いたい〜」
「言わねえと離さねえよ」
「・・・好き。」


面白いくらいに固まる阿部と
今にも頭から湯気がでそうな私


「って、なに言わせるの」
「お前が勝手に言ったんだろ。」
「阿部なんか嫌い」
「今お前好きって言ったじゃねーか!」


怒ってる怒ってる。そんな阿部に
私は笑いころげそうになるのを
抑えて阿部を見ると真っ赤な
表情をして、私の肩を思い切り
つかんで


「俺はお前が好きだよ。」


阿部から初めて聞いた好きの言葉。
付き合ってくださいと言われたあの
時と同じくらいどきどきした。



その言葉が聞きたかったの


(もう言わねえ…。)

20130501.
お久しぶりです。
今年一発目はりはびりで阿部です。







prev next