おお振り(短編) | ナノ








寒い寒い寒い。今にも雪が降って
きそうな寒さに震える。体育なのに
上着を忘れ、半そで短パンな私。
そんな姿に友達も寒いよ!と震える。

なんで、上着忘れたの、私ってばか。
両腕をさすりながら、必死に温かくなる
方法を考える。・・・とにかく運動しかない
よね、先生早く授業はじめてよ!


「うわあああ、なんでそんな格好してんの〜」
「上着忘れちゃったのー!!そんな水谷はあったかくていいね」


間抜けな声の主は水谷しかいないわけで、
ダボっとしていて温かそうなオレンジのパーカー
をきているにも関わらず、ぶるっと震える水谷に
苛立つ。私にそのパーカーくれないかなっていう言葉
も喉まできてやめた。


「うーーー、ちょっとこっちきて!!!!」
「え、体育始まっちゃうよ!?」
「んー!!いいから!」


冷たい私の手を引っ張ってやってきたのは
保健室。息を切らしている私をそっと後ろから
包み込む水谷にびくっと反応してしまう。


「な、なにして」
「ご、ごめん。気持ちとやってることが追いつかなくて
自分でもよくわかない」
「・・・」
「ずっとこうしたくて、でもできなくて」
「・・・!」
「へ、へんたい!!」
「ち、ちがうって!!」
「頬がゆるゆるだばか!!」


水谷から離れて、両頬をべちんと叩いて
やるとはっとする水谷。
ヘタレのはずなのに、今日の水谷は
どこか、積極的というかへんたい的
というか、もう変に私をどきどきさせる
なんなの・・・。


「あのね、俺、きみが好き。ずっと好きだったんだ」
「・・・私なんか、もうとっくに好きなんだよ。」


気が付いたら、水谷の両手を握って、
背伸びをして、水谷にキスをしていた。


「・・・!」
「・・・・・・」


ぼっと音がしそうなくらいに真っ赤に
なる水谷の顔を間近で眺めて、私は照れ
笑った。



寒い冬なんかぶっとばせそうなくらい


(あつあつになろう)

20121129.
やけどするぜ?







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